スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2024年4月11日 (木)

パリ五輪代表選考兼ねた体操全日本始まる 女子予選では前十字じん帯損傷から復帰の山田千遥が1班を1位、スタンフォード大で佐々木麟太郎の同級生候補?の相馬生(そうま・うい)も同班2位で13日決勝へ

11日=高崎市高崎アリーナ 体操のパリ五輪代表選考会を兼ねる全日本総合選手権(個人総合)が始まり、初日は女子の予選が行われた(14日まで)。午前中に女子一班が競技を終え、トップには、昨年4月同じ全日本総合選手権予選で3位につけながら、決勝跳馬の演技で左ひざ前十字じん帯を断裂し手術を受けた山田千遥(ミズトリスポーツクラブ/法政大)が52・699点でトップに立ち13日の決進出を決めた。
 山田は22年の世界選手権個人総合で14位となり、パリ五輪を狙うメンバーの中でもオールラウンダーとして期待されていた矢先の大けがで、この日試合後取材に応じながら
「(昨年会場から)担架で運ばれていく時には大けがだと分かり、あぁやってしまったな(パリ五輪は)もう無理か、とネガティブに考えました。でもたくさんの応援を頂いてこの舞台にまた戻って来られた。跳馬は怖かったけれどしっかり立てて良かった。みなさんの応援に感謝しかない」と、1年で再びトップに、しかも五輪を狙える場所に復帰した手応えを心からの笑顔に変えた。

 また、20年東京五輪選考会(21年開催)にもチャレンジした日本生まれ、米国育ちの相馬生(そうま・うい 19歳)も2度目の五輪チャレンジに、山田に続き1班の2位に付けた(52・365点)。相馬も十字じん帯の損傷で手術を受けた経験を持つが、この日は平行棒で13・866点の高得点をマーク。「とても緊張した。練習通りに、とコーチには言ってもらったが難しかった。決勝はもっとリラックスしてできると思う」と、拠点のある米国からの入国にまだ時差があると言いながらほっとした様子だった
 山田と相馬は共に、一昨年に体育館の老朽化や女子体操強化の使命を終えたとして閉鎖された「朝日生命体操クラブ」でトレーニングを行っていた。
 相馬は以前から「米国スタンフォード大学」への進学を熱望し、体育館でも参考書を読むなど勉強家で知られていた。すでに、同大学への合格を果たしており、五輪後の24年9月に入学、体操部への所属も予定している。記者から「(同じ時期に入学する野球の)佐々木麟太郎=花巻東を知っていますか?」と聞かれ、メディアで「リンタロウ」の名前を知ったそうで「知ってます!」と、思わぬ同級生候補?を楽しみにしていた。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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