スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2024年3月28日 (木)

「サッカーの楽しさを伝えるのが僕の使命・・・目指すはサッカーの上手いオジサン」小野伸二特任理事 4月からスマイルフットボールツアーで全国で講師役に

28日=Jリーグ(明治安田生命ビル)  昨年現役を引退し3月、Jリーグの特任理事に就任した小野伸二(44)が「Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアー for a Sustainable Future supported by 明治安田」の記者会見に出席し、「サッカーの楽しさを伝えていくのが僕の使命」と、全国20カ所を巡回する小学生対象のツアーへの期待を口にした。
 会見中、小学生の頃に現サッカー解説者のセルジオ越後氏が開催する「サッカー教室」を手伝ったエピソードを披露。当時は同氏を知らず、子どもたちの小さな股をも抜いてしまう高度なドリブルに「この人すごくうまい。誰なんだろう?」と疑問を持っていたと笑った。
 「(セルジオ氏と)一緒にやらせてもらって、こんなにサッカーが楽しく、上手い人がいるんだ。笑顔にしてくれた思い出はずっと残っている」と、今度は自身が恩返しをする番だとする。セルジオ氏を知らなくてもテクニックに魅了されたように、「自分のことも(今の)子どもたちは多分知らないと思うので、なんかサッカーの上手いオジサンだなぁ、と思われ、後で、あぁ、あれが小野伸二なのか、と思ってもらえればいい」と、先ず目指すはサッカーの上手いオジサン。昨年の引退以降もほぼ毎日ボールと触れ合う。「技術は変らなくても、感覚は衰えるので」と、様々なところでサッカー仲間に加えてもらっているという。会見中もボールを受け取ると、楽しそうにリフティングを繰り返し出席者をうならせていた。
 札幌時代から知るJリーグの野々村チェアマンも会見に同席し、子どもたちから小野に寄せられた「どうしたらボールを持って焦らないですか」との質問に「あ、同じ質問をボクも伸二に聞いたことがあるよね?」と2人の掛け合いに。その時小野は、「ボールを取られると思ったことがない(から焦らない)。子どもの頃、ボ―ルを取られるってナニ?と思った」と、野々村氏に答えたそうで、「質問した自分も(ビデオメッセージの少年にも)聞く人、間違ったね」と、会見場を沸かせた。 特別なメニューはない。「ボールひとつあれば笑顔になる」サッカーを教えるよりもそんなメッセージを発信する教室が4月28日、東京ヴェルディの主催する味の素スタジアムでスタートする。
 Jリーグ特任理事として、先日、JFA会長に就任した宮本恒靖氏に「ツネさんも、選手、監督、色々な部分を知っている。一緒にサッカー界を盛り上げていきたいと思う」とエールを送っていた。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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