陸上日本選手権10000㍍ 男子は日本新記録で塩尻が初V、太田、相沢も日本記録を上回る高速レースに。女子は廣中が3連覇も、標準突破ならず男女ともパリ五輪内定者は出ず
10日=国立競技場(気温15・5度) パリ五輪代表選考会を兼ねた陸上の日本選手権10000mが行われ、男子では塩尻和也(富士通)が27分09秒80と、前記録保持者の相澤晃(旭化成、2020年)の持つ日本記録27分18秒75を大きく上回る日本新記録で初優勝を飾った。今レースでは、優勝とパリ五輪標準記録の突破で代表に内定するところ、男女とも内定者は出なかったが、男子では塩尻を含め3人が日本記録を上回るタイムをマークしパリに1歩前進した。
レースでは国内外でも取り入れている「電子ペーサー」を採用、赤、緑、白と3色が設定タイムによって点滅して選手にペースを伝える機器で相澤の日本記録を上回る27分15秒に設定。気温を含めて好条件下、1㌔を2分44秒の安定したペースで刻み、太田智樹(トヨタ自動車)、田澤廉(同)、塩尻和也(旭化成)、相澤晃(旭化成)の4人で終始レースをリードした。
ブダペスト世界選手権代表の田澤が脱落した後、9000m(24分35秒)付近から、3000㍍障害で東京五輪に出場している塩尻が、強い脚力を活かしたロングスパートに出ると、太田、相澤はこれに付けず、塩尻が自身の記録、27分45秒18を大幅に更新する日本新記録で、また2位太田も27分12秒53、ケガで1年半ぶりの10000㍍に臨んだ相澤も27分13秒04と日本記録を上回り、田澤も自己ベストを更新(27分22秒31)。パリ五輪の標準記録27分0には届かなかったものの、国内では過去例のないハイペースな10000㍍で日本歴代記録1位から4位が塗り替わった。
女子は、8月のブタペスト世界陸上でこの種目7位に入賞している廣中璃梨佳(JP日本郵政グループ)が30分55秒29で3連覇を達成したが、パリ五輪参加標準記録の30分40秒には届かなかったため五輪代表内定はならなかった。