「ベテランの向上心こそ、クラブの宝」JリーグMVP 33歳の大迫勇也「初尽くし」の輝かしいシーズン
大迫はMVP受賞会見で1年の「ベストプレー」を質問され、少し考えてFKで決勝点を決めた8月12日の川崎戦をあげた。
「初めてのFKを決めた川崎戦。FKが初めてだったんで、決めた時は初めて(味わう)の感情だったんで嬉しかった」と振り返った。練習を終えても若手と最後までピッチに残って、キックを蹴り続けたという。ボールを置く位置や蹴る面にも工夫や研究を凝らして蹴り続けた結果、大迫にとっても初のFKゴールとなった。試合で、しかも順位を左右する大一番で蹴ったFKが、今季の大迫と、神戸優勝の原動力だった。
過去、最高年齢のMVPは16年の中村憲剛で36歳。しかし意外にも「大ベテラン」の受賞回数が多い。続いて、中村俊輔が2度目の受賞を果たした13年の35歳で、34歳での受賞者には、ペレイラ(94年)、ドゥンガ(97年)、楢崎正剛(2010年)、遠藤保仁(14年)と4人が並ぶ。大迫を含めての平均年齢は29歳ほどになるだろうか。
優勝監督となった吉田監督は「何歳になっても向上心と努力があればいくらでも成長する。大迫がその素晴らしい手本を示してくれた」と話す。初MVP、初得点王、初めて決めたFKと33歳が見せた「初尽くし」のキャリアは様々な可能性やサッカーの魅力をを示唆した。大迫は「とにかくコンディションが良かった。トレーナーに付きっきりでみてもらえたことが大きい」と、今季全試合出場(34試合)の要因をあげる。
全試合出場もまた、「初」のキャリア。Jリーグが、選手が目指すこれからの30年も示唆した受賞だった。