「3つの相手に勝った、第二次森保ジャパン8試合目の収穫」
昨年のW杯カタール大会を終え、森保一監督2期目のチームが3月24日ウルグアイ戦に1-1の引き分けでスタートを切ってからこの日のチュニジア戦が8試合目、11月から始まるW杯二次予選に向けての全テストを終えた。
8試合の全得点は24点、失点は8点。ドイツ、トルコといった欧州の強豪から南米、アフリカの各国相手に6勝1分1敗の結果は、内容でもカタール大会からの層の厚さが感じられる。
この日のチュニジア戦にはW杯2次予選に向けた仕上げと同時に、「3つの相手に勝つ」という特別な試合だった。
昨年6月の親善試合ではチュニジアに完敗。森保監督は試合後の会見で「チュニジアという強く、こじあけるのが非常に難しいし相手と戦って崩し方をインプットできたのは大きな自信で収穫になった。昨年のコスタリカ戦(グループリーグ2戦目、0-1)のように(引いた相手を)崩しきれずに終わってしまった試合もあったなかで、我慢強くボ―ルを回し、(攻撃にかける)スイッチを共有できた」と手応えを示した。
昨年完封負けを喫したチュニジア、W杯でワンチャンスを決められ敗れたコスタリカ戦ではボ―ルを相手以上に保持しながら攻めあぐんだ。しかし新チームのスタート以来、ボ―ルを保持するパーセンテージは50%を切っているケースが多い。以前のインタビューで監督は「40%のポゼッション(保持)で強い国に勝てるという感覚を持っている。選手も相手に持たれながら粘り強い試合運びができるようになった」と、4バック、3バックといったシステムとは違うサッカーの質、バリエーションについて興味深い分析をしていた。
6月、4-1で勝利したペルー戦は41%、9月のドイツ戦は36%、カナダ戦は46%、と、守備的に戦わざるを得なかった昨年のW杯ドイツ戦やスペイン戦とは違う選択肢を豊富を備えている。その中で、守備的に来るチュニジアを「遅攻で粘り強くこじあけた」(監督)の手応えは、昨年の雪辱以上にコスタリカ戦も「復習」した点で意味があった。
「いい守備からいい攻撃」のテーマ通り、遠藤と守田のボランチ、板倉と冨安のセンターはこの8試合で代表のこうしたバリエーションに常に安定感をもたらしている。
もうひとつの相手は、W杯2次予選だろう。ミャンマー、シリア、北朝鮮といった相手もさることながら、ピッチの環境、スタジアムの仕様、現地での調整と、「アジアの戦いは常に環境面で厳しく、過酷で難しい。(登録人数が26人から23人になることも)頭が痛いし、苦しいし辛い」と、笑いつつ表情をゆがめるやり取りも。しかし、ピッチでの機転でポジションを変え、粘ってボ―ルを動かしての勝利はW杯よりも成熟を感じさせる。目の前のチュニジア、W杯のコスタリカ、そして11月から始まるアジア2次予選。3つのライバルを倒せたチュニジア戦がターニングポイントになるはずだ。