スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2023年8月 3日 (木)

女子W杯なでしこジャパン キャンプ地クライストチャーチで最後の練習を終了 4日にノルウェー戦(5日)が行われるウエリントンに移動 

3日=ニュージーランド・クライストチャーチ 天候晴れ 気温9度 サッカーの女子W杯に出場しているなでしこジャパンは、7月17日から今大会のベースキャンプとしてきた拠点としてきたクライストチャーチでの最後の練習を終えて、いよいよあす4日に、5日のノルウェー戦が行われるウエリントンに移動、この後は、「負けたら帰国」となるノックアウトステージに臨む。この日は、ノルウェーの高さのあるセットプレーへの対策、また自分たちのセットプレーの確認を非公開練習で行った。
 ニュージーランドは北島と南島の2つの大きな島で構成され、南島の東海岸にあるNZ第3の都市、クライストチャーチは穏やかで「ホーム」とするのには恵まれた場所だった。過去の女子W杯で、こうした本格的なベースキャンプが設置されたのも初めてで、毎食を調理してもらっている西シェフの帯同ともに今大会の変化のひとつだった。
最後の日は、選手全員と、競技場でボランティア活動にあたってくれた警備を含めた関係者全員と交流。なでしこジャパンからユニホームと記念品が渡され、現地のスタッフからは、連日練習会場となった「オレンジセオリースタジアム」を本拠地とする、ラグビーのスーパーリーグ「クルセイダーズ」のユニホームや、マオリ族に伝わるという繁栄や旅の安全を祈願する「釣り針」が送られた。
 藤野あおばは2日の練習後、「本当に静かで、町に出ても人々が気さくに笑顔でこちらにあいさつしてくださった。散歩ものんびりできたし過ごしやすかった」と感謝の気持ちを表した。1次リーグではハミルトン、ダニーデン、ウエリントンと試合の移動をするたびにクライストチャーチに戻ったが、清水梨紗も「(3試合遠征をし)クライストチャーチに戻ってくると、帰ってきたな、ただいま、という気持ちになりました」と、キャンプ地での落ち着いた生活を振り返っている。
 クライストチャーチはNZ第3の都市とはいえ、オークランドのような大都会とは異なり、人々はあくせくせず、目が合えば笑顔を返す、そういう穏やかなライフスタイルで「ハッピータウン」とも呼ばれるそうだ。
 男子のW杯キャンプ地では、02年、初めてベスト16に進出した日韓W杯は静岡県内の高級ゴルフ場で、10年の南ア大会もジョージというリゾートの施設を丸ごと使用。18年ロシア大会ではモスクワから航空機で45分ほどのカザンにベースを置くなど、選手が長く過ごすキャンプ地選びは重要なテーマだ。
 練習場には毎日の練習で必ず救急隊員と救急車が待機した(ルールで)。スタジアムを出る際、隊員に手を振った。
「私が2週間の練習中、一度もここを動かずに(誰も病院に行くことなく)済んだのが何よりの喜びだったよ」と、ハッピータウンの笑顔に見送られた。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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