プロサッカー選手会 初の女性役員に有吉佐織が就任 吉田麻也会長は統一契約書の再検討とシーズン移行について言及
26日=都内ホテル 日本プロサッカー選手会(JPFA)の定期総会で、女子プロサッカー「WEリーグ」大宮に所属する元日本代表・有吉佐織が、女子選手として初の役員(理事、副会長)に選出された。女子選手は2021年から約200人が加盟しており、今回は公募での役員選任だった。2015年のW杯カナダ大会(準優勝)出場経験を持つ有吉は「よりよいサッカー界にしていくため、女子サッカーの環境や、選手一人一人の環境をもっとよくしていこうと発言する必要があるし行動していく必要がある」と、7月には女子W杯(オーストラリア、ニュージーランド共催)を迎える重要な1年での就任に、女子サッカー界の地位向上を目標にした。また、J3「FC大阪」の日髙慶太も新理事(副会長)に就任し、吉田麻也会長(シャルケ)は、「これまで十分に把握しきれなかった女子、J3について(自分も)教えてもらいながら色々な課題に取り組みたい」と、会員約1800人を束ねる立場として多様性を歓迎した。
吉田会長は、現在Jリーグで検討されている秋春制移行についても初めて言及した。
現行の2月開幕方式から、8月頃の開幕に変更される秋春制移行について、「秋、冬というシーズンの話はずれていて(誤解で)、夏に始まって春過ぎに終わる欧州と(基本的には)同じ。真冬にサッカーをやるといったように、大きくシーズンが変わってしまう印象が強い方も多いかもしれないが、今のプランでは実際(試合を)やっている期間は1か月くらいしか変わらない」と、特に寒冷地で不利との反対意見が多い状況を説明した。今後、野々村チェアマンらと共同で、移行のメリットをどのように訴えるべきか検討するという。
山形、秋田、八戸と寒冷地でプレーをしてきた日高は、「現状だとハード、ソフトの面で整備はできていない。すべての方が納得する形は難しいかもしれないが、議論を重ねて多くの方が理解した上で進めるほうが良い。まだその段階ではないと思う」と、事情をよく知る立場として慎重論を示した。
JPFAによると、この日の総会では「最低年俸制」と「各カテゴリのプロ契約人数の増加」について議論されたという。最低年俸は現在A契約で460万円と定められている。ただ、B・C契約には年俸の規定が存在しないため、下部カテゴリの新卒選手が大卒会社員の給与より低くなる場合も。プロA契約に関しても最低人数がJ1で15人、J2で5人にとどまっており、選手側からは活躍の場をより広げるために増加を求める声が挙がっている。吉田会長は「ある議論を始めると、必ず(Jリーグ発足時に作られた)統一規約にぶつかる、という話が多い。肖像権も同じ。世の中、そしてサッカー界は大きく変わった。よりグローバルでインターナショナルな基準が求められている時代において、ちょっと時代にそぐわなくなっているんじゃないかと感じている」と、Jリーグ30年周年の別の側面について選手の立場を示した。