スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2023年5月21日 (日)

陸上セイコーゴールデンGP 110㍍障害・泉谷は今季世界2位、3000㍍障害・三浦は同世界3位の好記録で優勝 昨年世界陸上100㍍金のカリーは2回のやり直しスタートにも9秒91で優勝 

21日=日産スタジアム WA(世界陸連)コンチネンタルツアー・ゴールドの「セイコーゴールデングランプリ2023」が男女合わせて15種目が行われ、 男子百十㍍障害では昨年のオレゴン世界陸上代表でもある泉谷駿介(23=住友電工)が、自身の持つ13秒06の日本記録に100分の1秒に迫る13秒07(+0・8)と、今季世界2位の好記録で優勝した。すでに標準記録を突破し出場を決めているブタペスト世界陸上、また初の12秒台、決勝進出など大きな目標に向かって発進した。
 泉谷はレース後、「(レースの感触は)70点くらい」と厳しい自己採点をしたが、五輪前年の世界陸上に向けて「この記録をコンスタントに出せるようにしたい。世界選手権に合わせていきます」と、日本人初の決勝進出、日本初の12秒台も視野に入っているようだった。
 男子3000㍍障害でも、日本記録保持者の三浦龍司(21=順天堂大学)が、自身の記録(8分9秒92)に及ばずも、今季世界3位となる8分19秒07と好記録で優勝。障害種目の2人が、スタジアムを湧かせた。
 男子100㍍では、オレゴン世界陸上同種目の金メダリスト、フレッド・カリー(28=米国)が予選で9秒88と(風+1・5)と、圧倒的な記録をマーク。決勝も、スタートが2度やり直しとなるアクシデントにも冷静さを見せ、9秒91で優勝を決めた。
 女子やり投げで、日本女子初のメダル(銅)を獲得した北口榛花(25=JAL)は「タイミングが合わずに、いつもあまり使わないのに頭を使ってしまった・・・最後まで(タイミングが合わない要因が)分かりませんでした」と、いつもスマイルにも元気がなく、6投目にこの日、自身最高の61㍍34と60㍍越えを果たしたが4位とふるわなかった。
 女子1500㍍では、田中希実(23=ニューバランス)が、持ち味の鋭いスパートをラスト1周からかけ、4分11秒56で優勝した。
 また、この日のレース前まで4人が12秒台をマークしている(日本記録12秒73=福部真子)大激戦の女子100㍍障害は、寺田明日香(33=ジャパンクリエイト)が、12秒86の自己ベストタイで優勝、日本選手権を手応えを掴んだ。このレースで清山ちさと(30=いちご)が、12秒91を出し、これで12秒台が5人に。寺田は「(競争で)ヒリヒリする部分と、それが嬉しくてニヤニヤする部分と両方があります」と、パイオニアらしいコメントで世界へ(世界記録は12秒12)の底上げを狙っていた。
 男子100㍍に出場した桐生祥秀(日本生命)は、スタートして頭を上げたところで左脚裏に痛みが走ったようで、レース中盤にスピードを緩めて9位でフィニッシュ。左脚ハムストリングを痛め、レース後「肉離れです」と明かした。復帰まで1~2カ月はかかる見込みで6月の日本選手権には出場できない。今季は休養明けのシーズンながら積極的にレースをこなし、6日の木南記念では10秒03をマークするなど復帰を印象付けていただけに厳しい結果となった。

[ 前のページ ] [ 次のページ ]

このページの先頭へ

スポーツを読み、語り、楽しむサイト THE STADIUM

増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

最新記事

カテゴリー

スペシャルインタビュー「ロンドンで咲く-なでしこたちの挑戦」