スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2023年5月14日 (日)

Jリーグ30周年記念試合オリジナル10同士の対戦 鈴木の今季7点目で鹿島が名古屋を2-0で下して5連勝 岩政監督「新しい歴史を紡ぐ1歩」

14日=国立競技場 Jリーグが93年にスタートして30年を迎えた「30周年記念スペシャルマッチ」として、記念すべきJ元年にファーストステージ優勝を果たした鹿島と、オリジナル10として03年5月16日に県立カシマサッカースタジアムで対戦した(ジーコのハットトリック、アルシンドの2ゴールで鹿島5-0)名古屋が対戦、Jリーグ30年の歩みを象徴する2クラブによる対戦に、国立競技場には56020人の観客が集まった。
 前半12分、直近5試合で4得点1アシスト4連勝をけん引する鈴木優磨が、右CKにヘディングで合わせてゴール。しかし主審がVAR判定をピッチオンレビューで行い、鹿島側のファールを認めてノーゴールに。今季、先制した場合、75%の勝率を誇る絶好機を奪われた。
 前線から積極的な守備と、奪った際の勢いで、鹿島は終始主導権を握る。すると29分、再び右のCKを獲得し、ノーゴールの際と同じく樋口雄太がキッカーとなり、ファーの鈴木に送ると、ノーマークのDFを狙いすまして鈴木がヘディング。「やり直しヘディング」で待望の先制点を獲得し、後半へと折り返した。 後半も、鹿島の中盤に手こずる名古屋はなかなかフィニッシュまで持ち込めず、鹿島ペースで展開。39分には、後半20分に交代で入った知念慶が、こぼれ球から粘ってDF2人の間でシュート、これが決まり今季4点目、チームも2-0と試合を決定付けた。試合はそのまま終了。鹿島は4連敗の後、5連勝と上位への足掛かりを固め、次節はFC東京と対戦する。
※VAR判定 樋口がCKを蹴る前に(inプレー前)鈴木がDFにファールをしたとしてノーゴールに。inプレー前だったので、主審は、CKのやり直しからリスタートさせた。

鹿嶋・岩政監督 (5試合連続無失点はクラブ史上タイと質問され)いや、そういう記録の話をすると大体止まるので(笑)上位に近づいてはいるが、まだ届いていない。(このところCKからの得点が続くが)セットプレーへの取り組みを少し変え、選手たちが自信を持って入っていっている。また樋口の蹴り方もこれまでとは少し変えていて、それも精度を高めていると思う。今季、競争と成長を掲げ得て、最初に上位チームと離れてかえってよかったのかもしれない。(後がなくなり)競争が一気に始まり、同時に成長が始まり、このままどこまで伸びて行ってくれるかと楽しみ。新しい歴史を紡ぐ1歩になった。
名古屋・長谷川監督 (鹿島の)鈴木をマークしていた。セットプレーで同じ形で失点したのは非常に残念だったが、ほかはきちんと対応できていた。きょうは、もう少し鹿島を崩す形が作れなければ、勝つのは難しかった。後半、CBからのビルドアップで攻撃に変化が出たが、もっと持ち運ぶ、という攻撃がなければ・・・しっかり切り替えて次に臨む。(30年前の開幕戦で監督は清水の選手としてプレーをしているが)本当に素晴らしい雰囲気を作って頂いた。30年後、こういう中で試合ができたのはとても嬉しい。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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