スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2022年12月 5日 (月)

W杯カタール大会 日本代表クロアチア戦に向け最後の練習「細部が試合を分ける。このチャンス(8強)を逃がすわけにはいかない」吉田主将 クロアチアとは日本W杯史上最多3回目の対戦に

 ドーハ4日午後4時半=日本時間4日午後10時半 天候晴れ、気温26度、湿度70% 日本代表は「新しい景色」8強をかけるクロアチア戦を前に、公式練習をキャンプ地のアルサッドでトレーニングを行った。練習には、酒井宏樹、冨安健洋、遠藤航の3人も揃って参加。3日の練習を「体調不良」で休んだ久保建英はこの日も体調が回復せず、練習には(新型コロナウイルスの感染ではないと確認済とのこと)参加しなかった。
 練習後に取材に対応した吉田麻也主将は、前回ロシア大会で準優勝を果たしたクロアチア戦について「(3日行われた)アルゼンチン対オーストラリアの試合を観ても、死闘になる。ディテール(細部)が試合を分けると思う」と、ノックアウトステージでの延長、PKまで続く集中力、闘争心を重要視した。試合展開では、0-0の時間を少しでも長く、時間が経過すればするほど、日本に分が出てくると読んでいるという。日本代表がW杯初出場を果たした1998年フランス大会以来、98年のグループリーグ(GL)2戦目でクロアチアと対戦。大会得点王にもなったFWスーケルに(21年まで同サッカー連盟会長)に決勝点を決められ0-1と敗れ、06年ドイツ大会でもGL2戦目で対戦し0-0とドロー。同一国と3回対戦するのは初めてとなった。
 18年ロシア大会では、8強をかけて対戦したベルギーにアディショナルタイムで突き放された。衝撃的な敗戦から4年、吉田は「色々なものを犠牲にしてきた。この(8強入りの)チャンスを逃すわけにはいかない」と、静かに闘志をたぎらせていた。
西野朗・当時日本代表監督は、ベルギー戦直後、「(倒れ込んで)芝に付けた背中の感触を忘れるな」と、選手に4年後に向けて立ち上がるように鼓舞しており、当時コーチだった森保一監督、選手にとって、クロアチア戦は4年間の自分たちの努力、成長、犠牲をすべて映し出す鏡のような試合となる。
 クロアチアのズラトコ・ダリッチ監督も会見を行い、
「最も大事なのは対戦相手へのリスペクトだ。日本はW杯優勝経験があるドイツとスペインを破った。決して相手を見くびるな、1秒たりとも気を緩めるな、と選手に言う。彼らは“侍魂”で来る」と、日本に対して最大限の敬意と警戒心を示した。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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