スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2022年11月20日 (日)

「イメージトレーニングでドイツと1000回戦い、最後は勝って来た」4大会連続出場の長友

日本代表史上、GK以外では初めての4大会連続でW杯代表に選出された長友佑都(36)が、練習後のミックスゾーンで取材に対応し、ドイツ戦を前にした心境について「(イメージトレーニングでドイツと対戦したのは)どうでしょう、もう1000回は頭の中で戦っている。(何回勝っているか)最後は必ず勝っている」と、ベテランらしい表現で本番モードに入っていくチーム、選手の心境を示した。
 18年のロシアW杯初戦のコロンビア戦、左サイドで先発した長友は、相手の右、フアン・クアドラードとの最初のマッチアップでグアドラードをピッチから吹き飛ばし、雄たけびに近い声をあげて大きなガッツポーズをした。試合の序盤に起きたワンシーンで、グアドラードはそのファイトの意味が分からかったようだった。
 長友はユヴェントスなどで活躍していたグアドラードとの最初のマッチプレーで、相手を「倒す」イメージを何か月前から一人、イメージトレーニングで固めて初戦に臨んでおり、コロンビアの気勢を削ぐ上でも完璧な先制パンチとなった。
 19日の練習後に、当時と同じようにドイツとのイメージトレーニングをして来たかを聞くと「(抽選でドイツとの対戦が分かってから)もう1000回は戦って来たと思う。最後は勝って来た」と、胸を張るように見えた。
 ロシアW杯ベルギー戦で最後の最後に振り切られた敗戦を、いかに記憶し、それを取り返そうとしてきたのか、その自信なのだろう。長友だけではなく、ベルギー戦を経験したGK川島永嗣、酒井宏樹、吉田麻也、柴崎岳、遠藤航らもそれぞれ、相手は誰か分からないが何度も何度も内なるピッチで「倒してきた」相手、試合がどう表現されるのか楽しみになってきた。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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