スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2022年11月29日 (火)

「カタールの夜空を1分間見上げたら・・・」4大会連続出場、出場試合最多記録を更新する35歳長友が、W杯を戦う理由 W杯を戦う理由

  W杯に4大会連続選出され、出場試合数で歴代トップの13試合を更新中の長友佑都は、コスタリカ戦から一夜明けた28日の練習を終え、ミックスゾーンでの取材に対応した。この日はコスタリカ戦に先発したメンバーはリカバリーに専念し、軽いジョッギングやウォーキングを終えると、2つあるピッチのうち、スタンドやメディアから離れた奥のピッチに入った。長友によればこの時、コーチから「1分間、空を見上げてみよう」と、呼吸や気持ちを整えるメニューを指示された。その際、ドイツ戦に勝って「ブラボー!!」と絶叫していた自分の姿が「降りて来た」と言う。
 「スペインに勝ってブラボー!と言っている自分が浮かびました。こうやって‘降りて’来たのは初めてで、スペイン戦に何の恐れも怖さもない。これだけW杯を経験させてもらっている僕が、ここに入っている価値を示せるのは今だと感じている」と、言葉と姿勢でチームのムードを鼓舞し、3戦目に繋げようとした。

 午前中のオンライン会見にも出席。その中で、2010年南ア大会でW杯デビューを果たした時の経験を明かした。
同大会でデビューし、初戦のカメルーン戦に1-0で勝ち、2試合目はオランダに0-1で敗退。勝ち点3で迎えた第3戦のデンマークに勝って予選を突破、2試合目の敗戦から学んだという。

 「あの時、俊さん(中村俊輔)、佑二さん(中澤)、能活さん(川口)が、若手がサッカーだけに専念できる環境を作ってくれた。僕自身、あの声がけに救われた」と話す。 
 ドイツ戦から先発5人を入れ替えたコスタリカ戦ではFW上田綺世、MF相馬勇紀、MF守田英正、DF山根視来が先発でW杯デビューし、後半から出場したDF伊藤洋輝もW杯初出場だった。もし自分が彼らの立場だったら、落ち着いたプレーなどできなかったのではないか、と慮った。

「若手が躍動できなかったり、僕の雰囲気作りが甘かったのかなと感じている。うまくいかなかった選手に批判があるのは聞いているし、批判は当たり前のことだけど、若手選手ではなく、そういう雰囲気を作れなかった僕に、もっと批判が来るべきだと思う」
  長友が出場した過去3大会で、日本が初戦に勝ち、第2戦で負けたのは、10年南アフリカW杯と同じ。当時は初戦でカメルーンに1-0で勝ったが、第2戦でオランダに0-1で敗戦。それでも第3戦でデンマークを3-1で破り、2勝1敗で決勝トーナメント進出を決めた。
 「先輩方に与えられた言葉はずっと胸に刻まれている。逆にそれは僕がする立場になった。そこはやりがいを感じている。批判に対していい結果が出たら、皆さん(報道陣に)も3150倍返し(サイコーの意味?)でお願いします。突破します!」と笑顔で取材ゾーンを去った。かねてから、「W杯マジック」と称し、この大舞台に立つと「絶対にまた来たい」と強く思い、それをモチベーションに踏ん張ってきたのだという。「W杯マジック」の虜になったベテランが見せる存在感は、スペイン戦までの、残る中2日でどう作用するか。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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