42歳の現役スプリンター末続慎吾 16日、北九州カーニバルで約1年半ぶりにレース出場へ「今季初レースが今季ラストレース。楽しみ」
14日=平塚総合運動公園 42歳の現役スプリンター、末続慎吾(イーグルラン主宰)が16日、北九州本城陸上競技場で行われる「北九州陸上カーニバル」100㍍に出場する。レース出場は、2021年5月、日体大の記録会で10秒78と、長いブランクを経た後のベストタイムをマークして以来1年半ぶり。北九州では予選、決勝レースとなるため、レースの組み立てとともに、予選と決勝の間が4時間あくなど、42歳のランナーにとって未知のマネージメントも必要となる。
「今季初レースが今季ラストレース。今年取り組んだトレーニングが実践で試せればいい。色々な意味で楽しみです」と話し、小雨の降りしきるなか、1時間ほど本拠地での軽い練習を終えて15日の現地入りに備えた。
末続は様々なアプローチでトレーニングに臨み、日本の最高峰である「日本選手権」に出場できるレベルを目指してきた(100㍍参加標準記録は10秒45)。03年にマークした100㍍10秒03は3人が9秒台をマークした現在も歴代7位、200㍍20秒03はいまだ破られない日本記録だ。
100㍍での日本選手権出場を目標に掲げた昨秋、ラグビーのフランス代表などの指導で実績をあげた里大輔(37)と契約し、専属コーチを置かずに活動してきたキャリアで新たなアプローチを始めた。目標は、長く培ってきた「自分にしか分からない感覚を、あえて数値化する試み」だという。ハードトレーニングを主体に目標を突破してきただけに、身体も神経も加減がもっとも苦手なのだろう。一方42歳の肉体には、オーバートレーニングや、わずかな体調の変化を見落とすリスクが高い。
例えば14日も、冷たい雨と先週との大幅な気温差で、「調子はものすごくいいので走れてしまう。でも、もっと走れる、という脳の指令を自制するのも、大事な練習の一部」と、いかに練習過多を防ぐかが大きなテーマで、里は、自分を客観視させてくれる存在でもある。
昨年41歳でマークした10秒78は40~44歳の年代別日本記録で、世界ランキングでも世界2位の大記録だ。しかしこう言って笑う。
「昨年の記録会で10秒78でゴールした時、皆さんに大きな拍手をもらって、握手やサインを求められました。有難いんですけれど、4位なんですよね。皆さんに、42歳でスゴイ、スゴイと喜ばれる分だけ、何だか悔しくなっちゃって・・・」
16日は、悔しさの理由や求める走り、これから目指す場所を示してくれる大切な1レースになりそうだ。