WEリーグカップ戦 0-3からの大逆転で浦和がPK戦で東京NBを下して初代王者に 40歳安藤2点目を奪い、ママ岩清水もフル出場
10月1日=味の素フィールド西が丘(東京都北区、3546人) シーズン開幕に先駆けて行われた2022-23 WEリーグカップの決勝で、三菱重工浦和レッズレディースと日テレ・東京ヴェルディベレーザが対戦し、0-3から同点に追いついた浦和がPK戦に勝って、大逆転で初代王者に輝いた。試合開始から浦和がボールをコントロールしてペースを握ったが、25分、東京NBの藤野あおばが左サイドを突破し、浮き球で折り返したボールに植木理子が頭で合わせてシュート。一度はクロスバーに阻まれたが、植木はこぼれ球に反応し2度目のヘディングで先制点を奪った。
29分にも、藤野が奪ったボールからショートカウンターで右から折り返し、エリア内に走り込んだ植木が合わせて点差を広げた。後半も、27分に村松智子が右サイドからゴールを奪って安全圏ともいえる3点差とした。
しかし浦和は、2トップを置く形で反撃を開始。30分に2トップに入った清家貴子が左サイドを一人で突破単独して1点を返すと、その直後、ゴール前の混戦から40歳のベテラン・安藤梢が2点目を返す。さらに39分、菅澤優衣香がハンドで得たPKを決めて試合を振り出しとした。3-3のまま大会規定上、PK戦に。
両チームとも2人目まで成功したが、先行の東京NBは3人目の三浦成美がクロスバーに当てて失敗。さらに4人目の藤野も福田史織にセーブされ、4人決めた浦和が4-2とPK戦をものにし、大逆転で初代カップ戦王者に輝いた。2022-23シーズンの「Yogibo WEリーグ」は3週間後にシーズン開幕となり、東京NBは22日にホームでアルビレックス新潟レディース、浦和は23日にホームでAC長野パルセイロ・レディースと対戦する。
WEリーグが掲げる多様性の実現を体現するように、浦和で2点目を奪った安藤梢は40歳。ママさんフットボーラーとして奮闘する岩清水梓も35歳だ。
安藤はフル出場の試合後、今季の目標を聞かれ「40歳と思われないような若いプレーを見せていく」と答えて、場内は拍手と笑いに包まれた。試合後は「一瞬でも早くリカバリーに入る」と、次の試合へケアを怠らない。また長男出産から昨季本格的に復帰した東京NBのDF岩清水梓(35)もフル出場で、カップ戦も5試合フル出場と、今季のコンディションの良さが際立っている。試合後、3点差からの逆転負けに「チームの経験のなさ。勝負どころで未熟さが出た」と、1失点した時、「慌てるな、大丈夫」と声を掛け続けたが徹底できなかったと悔やんだ。わずか9分間で3失点と流れに飲み込まれてしまった弱さを課題にあげた。ともに2011年、W杯ドイツ大会優勝経験者で、試合後も、安藤は「イワシ(岩清水)がチームを鼓舞する。怖い存在だった」とし、岩清水は「あちらには(浦和)スゴイ40歳がいるので(3点取っても)皆んな浮足立ってしまった」と、互いの存在感に心からの敬意を払っているようだった。
この試合は、名誉会長の高円宮妃殿下が観戦され、このほど新チェアに就任した高田春奈氏も視察した。試合後「選手とチームの個性が出て、お客さんを魅了できたと思う」と話した。一方、自由席には空席もあったため「WEリーグがカップ戦をします、観に来て下さい、という情報は出ていたが、例えばディズニーとコラボをするとか(小学校低学年にサッカーを楽しむ機会を提供するプロジェクト)、(乳がん検診を促進する)ピンクリボン活動など、スタジアムに行けばこんなこともあるんだ、といった情報の発信があまりなかったと感じています」と、昨年1700人にとどまった平均観客を今後どう改善するかについて課題をひとつ例にあげていた。