スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2022年8月22日 (月)

ACL 浦和レッズ3年ぶり4強進出で3度目の優勝へ一歩前進 前半2度もの「幻のゴール」にも4点奪取 

22日=埼玉スタジアム(観衆16210人) ACL(アジア・チャンピオンズリーグ)の決勝トーナメント準々決勝2試合が行われ、手倉森誠監督が率いるタイの「BGパトゥム・ユナイテッドFC」と、2019年以来の4強を目指す浦和が対戦した。浦和もパトゥムも中2日と過密日程の中、浦和は準々決勝から1人、パトゥムは同じメンバーと、共に湿度81%の過酷なフィジカル、連戦のメンタルと厳しい戦いに臨んだ。
 ダブルヘッダ―第1試合では、ヴィッセル神戸と全北現代モータース(韓国)が対戦し、延長の末、ヴィッセル神戸が逆転負けを喫し、準々決勝で敗退しただけに、浦和にはACLでJリーグただ1チーム残ったプライドと意地がのしかかるなか、前半1分、浦和の気持ちを示すように、ビルドアップから、岩波拓也がエリア右脇から右足でディフェンスラインの背後にパスを送ると、松尾佑介がセンターバックを振り切り、エリア右から右足でシュート、先制ゴールかと思われた。しかしVARの結果(オンフィールドレビュー)松尾のハンドを取られてノーゴールに。ホームの声援を受けるアドバンテージでその後もパトゥムを攻める。

 25分には、大畑歩夢が焦らずに後方にはたき、関根貴大のシュートが決まったが、これもゴール前で松尾がオフサイド。前半で異例の
「幻のゴール」2本と嫌な流れかと思われた。 
 しかし32分、左サイドから関根が斜めにパス、中央に入り込んでいたダヴィド モーベルグが強烈なシュートでGKの左手をはじいてようやく先制ゴールをものにすると、勢いを保って42分、岩尾 憲の左CKから岩波がニアサイドに飛び込む。バックヘッドのように角度が変わってコースも変わりゴール右に決まって2-0とリードを広げて後半に向かった。後半10分には、インタ-セプトした伊藤敦樹が自ら持ち上がると、小泉佳穂へ。小泉の左足からのシュートは、相手DFの股を抜けてゴール右へ決まり、これが試合を決定付ける3点目のゴールとなった。
 浦和はこれで楽な展開に持ち込み、20分過ぎには3人を一気に交代。その後は、酒井宏樹も休ませる交代カードを切る余裕で、27分には途中出場の明本孝浩が、江坂任からのスルーパスに走り込んでエリア左から強烈なシュート。これも決まって4-0と、パトゥムの史上初のベスト4進出の夢を打ち砕き、クラブとして19年以来3年ぶりの4強進出を果たした。
 一方の手倉森監督は「きょうはクラブ史上1番のビッグマッチだった」と試合後、敗れたとはいえ充実感を見せ、ミーティングでは選手たちに「常にインターナショナルというところを見て行こう」と、W杯の会場となった埼玉スタジアム、浦和のサポーターの前で試合をした経験に興奮していたという選手たちに、高い目標を設定した。「浦和にはACLのタイトルをしっかり取ってもらいたい」とエールを送った。
 監督とチームはタイに帰国し、シーズン開幕に向けて準備を進めるという。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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