スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2022年7月16日 (土)

オレゴン世界陸上 20㌔競歩で山西が「大人の競歩」で金メダル 19年ドーハに続き史上初の連覇 2位池田と金銀メダル独占も史上初 ヘイワードフィールドでメダルセレモニー

 世界選手権競歩が行われ、男子20キロで前回19年のドーハ大会を制した東京五輪銅メダリストの山西利和(26=愛知製鋼)が、1時間19分7秒で連覇を達成した。山西は、ペースが遅かった前半、集団を引っ張り、その後は集団の中で安定したペースを刻んで力を蓄えた。17キロからは、東京五輪銀メダリストの池田向希(24=旭化成)とともに抜け出し2人で金メダルをかけたデッドヒートを展開。ラスト1周で山西が一気に1スパートをかけて、日本勢がワンツー・フィニッシュを果たした。
 山西はレース後「集団を絞っていくのがテーマだったんで、それはできたのかな、と思う。スローペースで10㌔まで、というのは(展開的に)嫌だったので、まずは最初に、このペースにみんな持ってきてね、と意識をまとめ全体のペースを自分が決定する」と、19年ドーハ大会で金メダルを獲得した時以上に、冷静に、成熟したレースを作り切った充実感が伺えた。
 昨夏の東京五輪では銅メダルと、悔しさが残った。「去年の東京五輪までと、この世界選手権までは別のストーリーを紡いでいるような気がする。ステージがあがったというか、それを楽しめている」 
取り組みをかけたのか、これでドーハ、五輪、オレゴンと主要大会連続メダルと、20代中盤で充実期を迎えている。「この道が一生続く、というか、しばらく道が続くと思います」と、集団を自分でコントロールするいわば「大人の競歩」を手応えに、笑顔を見せた。夜には、メイン競技場のヘイワードフィールドに場所を移して改めてメダル授与式がおこなわれ、山西は19年ドーハは
競技場の最上階で実施されたため、あまり実感が湧かなかったとし「きょうはお客さんの前で、とてもうれしかった」と、ドーハ、昨年の東京は無観客など、普通に行われたメダルセレモニーの喜びをかみしめた。

池田向希「山西さんには完敗です。でもドーハ(19年)では6位で(に終わって)何もできず、東京の銀と今回のメダルで少しでも成長した姿を見せられたならうれしい


 

[ 前のページ ] [ 次のページ ]

このページの先頭へ

スポーツを読み、語り、楽しむサイト THE STADIUM

増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

最新記事

カテゴリー

スペシャルインタビュー「ロンドンで咲く-なでしこたちの挑戦」