スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2022年7月18日 (月)

オレゴン世界陸上 気温13度異例の好条件で夏マラソン 西山が世界陸上では過去最高タイムで13位 優勝はエチオピアのトラで大会新記録

17日=米・オレゴン州ユージーン オレゴン世界陸上3日目は、午前6時15分(日本時間17日10時15分)から男子マラソンが行われ、西山雄介(トヨタ自動車)が、過去の世界陸上ではもっとも速い2時間8分35秒をマークし13位となった。31キロ過ぎに先頭集団に振り切られ脱落したが、集団の中央を終始譲らない落ち着いた走りで初の世界陸上で存在感は見せた。
 「(ペースアップを)構えていたのに対応しきれず悔しさがある」と反省を口にしたが、調整もうまくこなし今後への自信を得た。
 星岳(コニカミノルタ)は、30㌔まで30人以上が先頭集団を形成する難しい展開のなか、なかなか自分のポジションを定められず、集団で出入りの激しい位置取りに苦戦。2時間13分45秒で38位だった。
 日本記録保持者の鈴木健吾(富士通)は、妻で女子マラソン代表の一山麻緒(資生堂)、マラソンコーチ陣と新型コロナウイルス検査で陽性となり欠場した。
 優勝は、タミラト・トラで2時間5分36秒は大会新記録。スタート時の気温が13度で、ゴールも16度と、過去、酷暑や過酷なレースを代名詞にしてきた世界陸上のマラソンとは様子が違い、絶好のコンディションのなか後半からのハイペースが記録を押し上げた。西山が脱落した31キロから32㌔のラップは2分52秒とこのレース中でもっとも速く、トラは2分43秒までペースを上げる世界基準のハイレベルなレースを展開した。アップダウンをうまく使うだけではなく、ランニングの町として知られるユージーンの道幅が狭い箇所や橋、市街の広い道と、全てでペースを変えながら揺さぶりをかけ終始主導権を握った。
 マラソンで日本男子がメダルを獲得したのは05年ヘルシンキ大会の尾方剛(広島経済大)の銅が最後。東京五輪が終わり、日本陸連ももう一度強化策を見直しており、西山がマークした2時間8分をベースにコンスタントな入賞を先ずは目標に、メダル獲得へとつなげたい。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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