「実は球技全般苦手でして・・でももっと楽しく観られたらいいなと思う」筑波デジタルネイチャー開発研究センター・落合陽一氏と日本サッカー協会が新テーマの研究で合意
23日=日本サッカー協会JFAハウス(東京・文京区) 日本サッカー協会(JFA)は、「筑波大学デジタルネイチャー開発研究センター」と共同で、「物理再構築技術とサッカーの融合」をテーマとした研究に合意したと発表した。7月より研究を始める予定で、研究の指揮を執る同センターの落合陽一センター長(筑波大学図書館情報メディア系准教授)と日本サッカー界、また世界的にも例のない協働が、どのような変革をもたらすのか期待される。
共同研究内容は大きく3つに分類される、と落合氏は説明。
①世界一のサッカースタジアム観戦環境および新たな視聴環境の開発
デジタルデータによる自由視点の試合映像の構築、観戦/視聴におけるダイバーシティ・インクルージョンの追求
②サッカー技術や指導方法に関わるデジタル技術の開発・ヴァーチャルリアリティー(VR)やドローンなどの技術を駆使したグラスルーツ向け指導技術の構築
③日本サッカーミュージアム、日本サッカー殿堂の監修
日本サッカーミュージアムにおける展示・掲額のあり方の検討や上記研究技術の転用・検証
この日の会見で、JFAの田嶋幸三会長は、「5Gという強力な通信インフラが整備され、スポーツで得られる感動体験が広がる。まるでピッチにいるかのように、スタジアムにいなくても観客席にいるかのようにスポーツを楽しめる、また視覚情報だけでなく、その他の感覚で観戦を楽しめるようになるなど、多様な観戦体験を味わえるようにしないといけない」と目的を明言した。
落合氏は、「実はサッカー、球技全般は苦手でして・・・ちょっとは見たりはします。見ることはできますが、もっと楽しく見ることができたらいいなとも思う。運動音痴の私がサッカーができるようになったり、楽しむことができたら、それほどいいことはないと思っている。新しいサッカーの楽しみ方を伝えられたらと。熱狂するような当事者性を持ってやっていきたい」と、新たな研究に意欲を見せた。11月のFIFAW杯カタール2大会も視野に、何か体験できるようなもの、ディスカッションなど、大学の研究が従来発表の手段とする論文や展示以外に、発表の機会を積極的に設けていくとした。
落合氏は、かつてテクノロジーーで「何とかしようと思った」と数年前までの姿勢を明かし、「テクノロジーマッチョで、テクノロジーで何とかしようと言っていた。しかし実際には人間力で何とかすることが多いと思った。人間とテクノロジーがもっと泥臭く一体となって解決していくことが、いろいろな場面で発見できるなら、シンプルに楽しみです」と、22人全員、違った考えや意図でプレーをするサッカーのユニークさがかえって楽しみだとした。
研究の期限はひとまず2年で、落合氏がサッカーを観戦するか、日本代表・森保一監督とミーティングを開くなど、今後は新たな、これまでの枠組みではなかったコラボレーションがサッカーでも多く生まれる。