スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2022年6月 9日 (木)

陸上の日本選手権男子100㍍でサニブラウンが10秒04で世界陸上参加標準記録を突破して決勝へ 5000㍍は遠藤日向が連覇し、世界陸上代表第一号に

世界陸上の選考会を兼ねた日本選手権第初日(ヤンマースタジアム長居、12日まで)に行われた男子100メートル準決勝で、9秒97の前日本記録保持者、サニブラウン・ハキーム(タンブルウィードTC)が10秒04(追い風0・8メートル)と、7月米・オレゴン州で行われる世界陸上参加標準記録10秒05を突破して1着となり、10日の決勝に進んだ。昨年の覇者で連覇をかけた多田修平(住友電工)は10秒41の凡タイムに終わりまさかの準決勝敗退。昨年の日本選手権で2位に入って東京五輪代表に選出されたデーデー・ブルーノ(セイコー)も10秒25で決勝には進めなかった。
 1組で走った桐生祥秀(日本生命)は、10秒24で4着だったが、全体の上位3人のタイムで拾われた形となった。
 桐生は、ミックスゾーンで「恥ずかしいけど、ホッとしています」と、率直に吐露。結果を待っている時は、(自分の記録を)上回らないでくれ、と(タイムで拾われるために)願ってしまったという。「そういう思考になってしまったことを反省しないといけない。今日は自分のダメな部分が気持ちに出てしまった」と、反省し、10日の決勝へ9日夜、再点検をするとした。
 サニブラウンは、狙い通り準決勝で標準記録を突破し、初めてアメリカで行われる大会にも前進(参加標準記録突破者で、今大会決勝で3位以内に入った場合に内定)。米国でのトレーニングで「周囲の選手たちのメンタルの強さを学んでいる」と話しており、勝負所で目標を果たした。しかし、スタートの反応が遅かった点を修正材料にあげ、「走りとしてはまだまだ。もっともっと上げていける。(10秒05の突破で)喜んではいられないので」と、3年ぶり3度目の日本選手権優勝に気を引き締めた。
 男子5000㍍では、すでに参加標準記録を男子5000メートルは遠藤日向(住友電工)が13分22秒13で連覇を飾り、世界陸上代表に決まった。今年5月に日本歴代2位の13分10秒69をマークして参加標準を突破。遠藤は「狙ったレースで結果を出せる練習を積んできたので不安はなかった。今の実力では(世界陸上でも)下から数えたほうがいいくらいだが、ここからキツイ練習を積んで海外勢に食らいつきたい」と、同種目では初めての入賞を目標に掲げた。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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