スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2022年6月 5日 (日)

日本代表ブラジル戦に向けて紅白戦 長友を右、中山を左サイドでプレー 6月4連戦は「サバイバル」より「W杯リハーサル」

4日=千葉市内 6月4連戦の強化試合を組む日本代表は、代表戦では初めて新しい国立競技場で行われる世界NO1・ブラジルとの対戦に向けて練習を行った。この日は、報道陣や一部のファンにも練習全てを公開。セットプレーなどは行わないが、ピッチのハーフのみを使って狭い中で行う11対11の紅白戦に臨んだ。レギュラー組の右サイドバック(SB)には、長友佑都、左SBはDF中山雄太が入った。今季FC東京でも、右サイドに入る長友が、Rマドリーで躍進するFW・ビニシウスや、左サイドを突破するFW・ネイマールとマッチアップする並びで、森保一監督は「経験」にかけるようだ。
 1トップはFW古橋亨梧 、インサイドハーフにはパラグアイ戦で力を見せたMF原口元気と、田中碧、2本目は、パラグアイ戦をケガで見送った守田英正と柴崎岳。最終ラインでは、冨安健洋がブラジル戦も回避する状態か、別メニューで調整した。CBは、吉田麻也と板倉滉が組んだ。森保監督は、4-1で勝利したパラグアイ戦(2日、札幌)前、「できるだけ多くの選手に(4戦で)チャンスを与えたい。ブラジル戦は、W杯予選を戦ってメンバーの中から選ぶことになると思う」と話しており、世界NO1相手に、経験値を重視する。
 
 11月のW杯でスケジュールが大きく変わり、6月の4連戦の後、次に代表活動を組めるのは9月の欧州遠征まで大きく開いてしまう。このため、2日パラグアイ戦から6日ブラジル、10日のキリンカップでガーナ(神戸)、14日の同カップでチュニジアかチリの勝者と対戦するまで、中3日で組まれた今回のスケジュールは、11月23日のドイツ戦、27日(大陸間プレーオフのコスタリカかニュージーランドの勝者)、12月2日のスペイン戦と、W杯グループステージのための、絶好の、そして貴重なシミュレーションとなる。選手のコンディションはもちろん、メディカル、分析ビデオをどう落とし込むか、勝敗と並行しながらベストな選択をしていかなくてはならないチームマネージメントにとっても、同様にこれ以上ないリハーサルとなるはずだ。
 6日のブラジル戦は初戦のドイツ戦と想定すると、勝ち、負け、引き分け、全ての結果で、2戦目(今回はガーナ、W杯は大陸間プレーオフの勝者)、3戦目(今回は未定、W杯はスペイン)を準備しなくてはならず、さまざまな対応が実践経験できる。「代表入りをめぐるサバイバル」だけが、この連戦のテーマではないだろう。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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