スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2022年4月23日 (土)

体操の全日本選手権 女子決勝は2013年以来となる高校生女王・笠原有彩が優勝 村上、寺本、畠田引退で変わる女子体操勢力図

23日=東京体育館 世界選手権(10月、イギリス・リバプール)などの選考会を兼ねた体操の全日本個人総合選手権女子決勝が行われ、3月の全国高校選抜大会を制した17歳の笠原有彩(レジックスポーツ)が、予選との合計106・230点で初優勝を果たし、村上茉愛、寺本明日香、畠田瞳ら、五輪を経験しながら日本女子体操界をけん引してきたメンバーが抜けた後の、パリ五輪へ向かって名乗りをあげた。予選3位からの巻き返しで、2013年の笹田夏実以来の高校生新女王となった。「2日間ノーミスでできたのが良かったですし自信になった。嬉しいですが、実感がまだないです」とはにかんだ。
 2位だった宮田笙子(鯖体操スクール)は、予選と同じく、平行棒での落下、平均台でも落下するミスが響いて合計105・497点で2位。ケガを克服しての出場だったがミスに涙を流しながら「普段の練習から試合と同じ緊張感でやらなくてはいけないと思った」と、NHK杯での完全復活を誓った。
 大会中に1974年から続く体操部への協賛を、朝日生命が打ち切ることが公表された朝日生命体操クラブの山田千遥は、平均台での落下があり、予選トップから合計105・330点と3位となったものの、全日本で初の表彰台に立った。「(ニュースに)正直驚いたが、自分がやるべきことをやろうと集中した。クラブで沢山の方々に支えて頂いた分、恩返しがしたかった」と落ち着いた様子だった。
 大転換期を迎えた日本の女子体操界を占う結果で、5月14日からのNHK杯で各国際大会の代表が決定する。田中光・女子強化本部長は今大会を総括し「(優勝した)笠原さんは美しい体操、2位の宮田さんは、パワーがあってアメリカの選手のようなタイプ、山田さんは繊細な演技をする。(昨年世界体操種目別平均台で金メダルの)芦川うらら選手(日体大)は、緊張のなかでも平均台で14点台をしっかり出した。まだDスコア(演技の難しさの点数)が足りない部分はあるが、これからNHK杯を目指してそれぞれが課題を消化してくれると思う」と、期待を寄せた。24日は男子の決勝が行われる。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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