スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2022年3月11日 (金)

「自分がやらなくてはいけないことを、やらなくてはいけない」内村航平 12日の引退試合を前に美しさと着地の披露を約束

11日=東京体育館 体操男子で2012年ロンドン、16年リオデジャネイロ両五輪で個人総合2連覇を果たすなど、08年の北京五輪以降十数年に渡って世界の体操界をけん引してきた内村航平(33=ジョイカル)が、12日に引退セレモニーとして行われる「KOHEI UCHIMURA THE FINAL」(東京体育館)の記者会見を行い、6種目に臨む引退試合への思いを明かした。  

 「最後という感じがあまりなくて、こういう舞台を用意してくださって感謝の気持ちしかない。自分のやるべきことはやらなきゃいけないという、責任感。最後だからというかは、自分がやらなくてはいけないことを、やらなくてはいけないなというだけです」と、いつものように淡々とした様子だった。当日は、ともに団体総合金メダルを獲得したリオ五輪のメンバー、昨夏、団体総合では銀メダルとなった東京五輪のメンバーも出場。それぞれも会見に臨み、同級生の亀山耕平は、高校時代に内村を見て「(その才能の凄さに)体操を諦めかけた」と笑って振り返り、若い北園夫琉は「感謝を込めて演技したい」と、内村以上に緊張した表情だった。
 内村は、各選手の演技構成を事前に把握し「ぞれぞれが持ち味を出せるようにしたい。原稿のルールでは(跳馬をのぞき)技を10入れなくてはいけないが、半分くらいにする。難しさ(難度)の追求はずっとやってきた自負がある。最後に美しさと、着地を多く決めたい」と、当日の会場での練習中も、演技会ではなく試合への集中力を漂わせていた。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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