スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2022年3月 3日 (木)

12日ラスト演技会を前に内村航平会見「ブレットシュナイダーはやらなきゃならない」と約束 一方、ウクライナの好敵手を「どうしているだろう」と心配も

3日=オンライン 体操の男子個人総合でロンドン五輪、リオデジャネイロ五輪連覇を果たし、1月に現役から引退を発表した内村航平(33=ジョイカル)が、12日に現役最後の演技を披露する「KOHEI UCHIMURA THE FINAL」(東京体育館)を前に、オンラインで取材に応じた。ナショナルチームの合宿にも参加し、若手へのアドバイスなど協会の「アドバイザー」として、団体金メダルを獲得するため、主将を務めた経験からチームマインドを伝えたという。
12日に向けては、「試合とは違ってどうやって気持ちを盛り上げていけばいいのかよく分からない・・」と、常にトップレベルで、負荷の大きな競技会で結果を出してきた「レジェンド」らしいコメントで心境を明かす。東京五輪は鉄棒に絞っていたが、演技会では「王者」と称賛を集める個人総合6種目に挑む。「6種目をやるって言ったのを後悔するぐらいキツいですね。内容は落としてはいるんですけど、6種目やるのはこんなにも過酷なのかと改めて感じています」と苦笑しながらも、鉄棒のH難度「ブレトシュナイダーはやらなきゃいけない」と最後の披露を約束。代名詞である美しい演技、着地に体操人生を集約した思いが込められる。

 また、リオデジャネイロ五輪個人総合でわずか0.099点差で金・銀メダルを争う激闘を繰り広げながら、互いを尊敬するフェアプレー精神をみせた好敵手、ウクライナのオルグ・ベルニャエフ(28)が、ロシアの軍事侵攻によって「今、どうしているのか心配。スポーツのところにまで、(戦闘の)影響が及ぶのは非常に悲しい」と話し、体操の伝統国ウクライナ、選手たちに思いを寄せた。ベルニャエフはロシアの侵攻が始まった先月24日、首都キエフから悲痛な思いを発信している。
 加えてFIG(国際体操連盟)渡辺守成会長はすでに「ホテル、練習場所、生活費などが必要。私はFIG連帯基金と連携して、彼らの生活をサポートする」と発表し、連帯基金が不足した場合は「ウクライナ危機管理基金」を設立して検討すると、支援体制には踏み込んで言及しており、内村も自身のイベントで何かアクションする可能性もあるかもしれない。

 北京五輪で羽生結弦が見せた4回転半への挑戦について「羽生はオンリーワン」と最大限の称賛を送り、同じ「回転してひねる」スノボードハーフパイプの平野歩夢の演技を見ながら、得点が低く抑えられてしまった2本目から3本目への表情、思いに注目して見ていたという。「(2人とも)ほかの人とは違う領域で、自分と共通したものを感じているんだろうと思った」と、最高峰での戦いに共通点を見い出し楽しんでいるようだった。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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