W杯アジア最終予選終了 過酷な半年を締めるベトナム戦に1-1で引き分け 本気でW杯8強を狙うなら・・・同点ゴールで見えたもの
W杯出場権を獲得した後のいわば「消化試合」の結果は過去6大会様々だった。1997年、初めてW杯出場を決めたジョホールバルでのイラン戦はプレーオフのためその後の試合はなく、延長の激闘を3-2で制した。02年は、開催国枠での出場となり予選は免除されている。
・06年ドイツ大会出場権決定は05年6月(ジーコ監督)、北朝鮮が自国での開催権をはく奪され、タイのバンコクで無観客試合に。2-0で北朝鮮を下して出場を決めると、横浜での最終戦はイランに2-1で勝利し最終予選を終えた。
・10年南ア大会は09年6月(岡田武史監督)、ウズベキスタンとアウェーで対戦し1-0で勝って残り2試合での出場権獲得。中4日でカタールに1-1で引き分け、最終戦はアウェーのオーストラリアで1-2と敗れて終わった。
・14年ブラジル大会は13年6月(ザッケローニ監督)、埼玉スタジアムでオーストラリアと1-1のドローで出場権を獲得、最終戦はドーハでイラクと戦い1-0で勝利して終わった。
・前回18年ロシア大会(ハリルホジッチ監督)は、17年8月に埼玉スタジアムでオーストラリアを2-0で下して出場権を獲得し、最終戦は中4日でサウジアラビアのアウェーに。0-1で敗れて最終予選を終えた。
最終予選の出場権を獲得した「後の」勝敗は(岡田監督は2試合を残して獲得しているため)今回のベトナム戦の引き分けを加えて、2勝2分2敗と、全てイーブンとなる。また本大会でベスト16に進出したのも、最終予選の最終戦で敗れた10年と、18年となると、突破にいかに大きな力がかかっているか、同時に、最終戦がW杯につながっているか、を見極めるのも難しい。
一方で、日本代表にとってW杯過去最高の8強以上を本気で目指すなら、見えたものはあったと思う。
ここまで苦しい予選で、チームを先頭に立って引っ張り、時に森保監督をサポートし、そうした中、DFの吉田麻也が同点ゴールを奪ってどれほど歓喜したか、よく理解できる。まして「皆さんにスタジアム来て頂いて、是非、突破の喜びを分かち合いたい」と、呼びかけていた彼の
責任感も知っている。ただ、吉田が日本ベンチに走り、喜んでいる様子に、自分がベトナム戦で感じた「物足りなさ」が象徴されていた。ボールはゴールに転がったまま、伊東が出していたように見えた。
キャプテンは、あの場面でボールをゴールから必死に掻き出し、若い選手たちに「1点で喜んでいる場合ではない。もう1点、もう1点、奪うんだ」と、猛烈な発破をかける立場でいて欲しい。同点で、ベンチに喜びに行った主将や、その主将を「何やってんだ!早く戻れよ」と、タメ口でもピッチに追い返そうとはしなかった若手をスタンドから観ながら、今も闘い続けるカズや、ゴンちゃん、岡崎慎司はどうだったろう、と、チームの魂を体現してきたフットボーラーたちの姿を何となく考えた。もう1点を、2点を、奪い取ろうとする姿勢が、システムよりメンバー選考より、8強を目標に掲げるチームのスタート地点だ。