スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2022年3月 6日 (日)

東京マラソン キプチョゲ、コスゲイの男女世界記録保持者が、日本国内での最高世界記録をマークする超高速レースで優勝 鈴木健吾一山麻緒夫妻は夫婦同一レースのギネス記録更新  

6日=東京マラソン2021(東京都庁~東京駅丸の内・行幸通りゴール、気温7.8度、湿度29%、参加約2万人=公式未発表) 昨年大会が延期となり22年での開催となった「東京マラソン2021」が、市民ランナーも参加する形としては3年ぶりに行われた。男女ともに世界記録保持者が出場し、コースもさらに高速化をはかるなか、男子は2時間1分39秒の世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ(37=ケニア)が、2時間2分40秒と日本国内での最高記録、また世界歴代3位にあたる素晴らしい記録で優勝した。キプチョゲはレース前半の折り返し付近で集団とコースを間違える「ロス」がありながら、26キロ以降、設定されたペースより少し遅れると、自ら前に出て高速ペースを維持。最後は36キロから前に出てゴールまで独走した。
 「昨年の東京で金メダルを獲得したが札幌で行われただけに、きょう東京を走れるのは本当にエキサイティングだった」とレース後も余裕の笑顔で話し、レース前の記者会見で目標タイムに「STRONG」と記入した通り、アクシデント、ペース変化、レース展開全てに対応し、リオ、東京と五輪2連覇、世界記録保持者という絶対的王者の実力、プライドを存分に披露するレースとなった。マラソンは16戦14勝となった。
 女子でも、世界記録保持者(2時間14分04)のブリジッド・コスゲイ(ケニア)が、2時間16分2秒の日本国内での女子最高記録で優勝。ワールドスタンダードのスピードを男女で見せつけられた。

 日本勢では昨年びわ湖で日本記録(2時間4分56秒)をマークして以来のレースとなった鈴木健吾(26=富士通)は、安定しないペースに自ら先頭でリードするなどの力を示して、日本人ではトップの4位、2時間5分28秒で、歴代でも自らの日本記録に続く2位の好記録で安定ぶりを示した。世界陸上(今夏オレゴン州で開催)の標準記録も突破しており、代表にも近づいた。
 女子では、野口みずきさんの日本記録2時間20分突破以来(19分12秒)となる日本記録更新に向けて、東京五輪8位入賞を果たし、現役では最速記録の一山麻緒(24=ワコール)と、東京マラソンは1万㍍に出場しながら不本意な結果を「ここで取り返したい」と、第1回大会以来の東京マラソン(マラソンは13年ぶり)に挑んだ新谷仁美(34=積水化学)が競いながら好走した。しかし、高速コースでの男女混合レース、スピードが持ち味のライバルとの並走と、これ以上ない日本記録更新のチャンスはものにできず、一山は2時間21分2秒で6位、新谷はマラソンでの可能性を見せる2時間21分17秒で7位に入った。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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