スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2022年2月 4日 (金)

なでしこジャパンAFC女子アジア杯準決勝 2度のリードも、粘る中国にPK戦で敗れ3連覇ならず アジアNO1タイトル失う

3日=インド・プネ(日本時間3日23時~終了は4日)AFC女子アジアカップ 
1991年以来9大会連続でW杯出場権(23年ニュージーランド・オーストラリア共催)を獲得し、次のミッション、大会3連覇を狙って準決勝に臨んだ女子日本代表「なでしこジャパン」(FIFAランク13位)は同19位の中国と対戦し、2度先行をしながら中国の粘りに2-2と追い付かれて延長、PK戦で敗れた(PK3ー4)。日本は、14年(佐々木則夫監督)、18年(高倉麻子監督)と保持してきたタイトル「アジアNO1」を失った。
 26分、左サイドの攻撃から宮澤ひなたのクロスに植木理子がニアにヘッドで飛び込んで先制。自身5試合4ゴール目で、決勝進出へFWとしての存在感を示した。1点リードで折り返した後半立ち上がり、中国を引き離したいところが逆に左サイドでの守備で集中力を欠いたのか、エリア内に簡単にボールを運ばれてしまい、Wu Chengshu にヘッディングで決められて同点に。このまま90分が終了。延長前半に、長谷川のFKから、再び植木が低い姿勢で難しいヘディングでゴールを奪った。VARでのチェックが入ったがゴールが認められ、延長の前半、絶好の時間帯に中国を引き離した。
 しかし延長後半、試合終了間際に、またも前半の失点と同じ左サイドでクロスを上げられ、飛び込んできたWang Shanshan に右足で合わせられて同点に。PK戦へ入った。
 日本はトップバッターでキャプテンの熊谷紗希が外し、中国も失敗。その後、長谷川唯、清水梨紗、長野風花と成功し5人目のキッカー南萌華がゴール左隅を狙ったが、24歳のGK・朱にセーブされて、逆に2点目を決めた王が5人目のキッカーとして成功。中国にPK3-4で敗れ、3連覇は果たせなかった。
 なでしこジャパンは、08年の東アジア選手権で初優勝、なでしこジャパンにとっても初となったこのタイトルを足掛かりに、10年も同タイトルを保持。11年のW杯ドイツ大会優勝にまでつなげた。世界制覇から3年後の14年には、実に15回目の挑戦で、初めてアジア女子選手権で優勝を飾った重い看板だった。以来、18年には高倉麻子監督で連覇し今大会は、W杯9大会連続出場と3連覇、2つの使命がかかっていた。
 日本はこの試合、ボールポゼッションで中国を圧倒しながら、一方シュート22本を打って枠内6本、ゴールは植木の2点と、精度も欠いた。池田監督は試合後のフラッシュインタビューで「選手はピッチの中で色々トライしてくれた。(コロナ禍で)制限もあるなかトレーニングし、色々な組み合わせ、コンビネーションも試せたので成果をしっかり分析したい」と話した。今年のなでしこジャパンの活動は、9月の総合競技大会のアジア大会(中国・杭州市)となる。

GK 1 Zhu Yu GK 18 山下 杏也加
DF 3 Wang Xiaoxue DF 2 清水 梨紗
DF 5 Ma Jun DF 3 南 萌華
DF 8 Yao Wei DF 4 熊谷 紗希 (Cap.)
DF 14 Lou Jiahui DF 12 乗松 瑠華
MF 16 Yao Lingwei MF 14 長谷川 唯
MF 18 Tang Jiali MF 15 長野 風花
MF 19 Zhang Linyan MF 16 林 穂之香
FW 6 Zhang Xin MF 23 宮澤 ひなた
FW 11 Wang Shanshan (Cap.) FW 10 岩渕 真奈
FW 15 Wu Chengshu FW 19 植木 理子

ゴール 26分 植木 理子
    46分 Wu Chengshu 
   103分 植木 理子
    
   119分 Wang Shanshan
記録は日本サッカー協会(JFA)から

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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