11日北京五輪 「平野があえて歩いた‘遠回り’は、オンリーワンとNO1の頂きに続く夢の道」スノボードHP平野歩夢金メダル獲得
北京五輪11日 スノーボード男子ハーフパイプ(HP)決勝で、14年ソチ、18年平昌2大会連続銀メダルの平野歩夢(23=TOKIOインカラミ)が、五輪では誰も決めていなかった「トリプルコーク1440」(斜め軸で縦3回転、横4回転技)大技を成功させ、現時点で完成された圧倒的な最高難易度の構成で、3回目に96・00点で、逆転の初の金メダルを獲得した。
98年の長野五輪で男女新採用されたスノーボード(男女ハーフパイプ、大回転)全種目を通じて、日本勢初の金メダル。日本選手が冬季五輪3大会連続でメダルを獲得するのも平野が初めて。さらに、昨夏の東京五輪には「二刀流」でスケートボードの代表として出場(14位)しており、日本のオリンピアンで「二刀流五輪出場」を果たした5人で初めての金メダリストとなった。二刀流に挑んで「自分にしかできない表現」と言い続けた「オンリーワン」への強い信念をも、大舞台で体現してみせた。
2回目、前世界選手権王者のスコット・ジェームズ(オーストラリア)が92・50点、平野歩はトリプルコークを含め最高難度の構成を成功させたにも関わず91・75点と2位で最後の滑走に。ジェームスより得点が抑えられ、反対に金メダル獲得への闘争心に火が付いたようだった。
「これが最後の五輪」と大会前に明かし、平野とソチ、平昌五輪と金、銀メダルを争ったショーン・ホワイト(35=米国)は85.00で4位。平野も大会前の取材で、「彼は今回最後の五輪、またあそこで(五輪の舞台で)やりあえるのを楽しみにしている」と、2人だけが分ち合える「絆」を伺わせていた。金メダルを獲得した後、平野のもとに歩みより、ホワイトが自分のヘルメットをしばらく平野のヘルメットに合わせているシーンがあった。
平野の弟・海祝(かいしゅう、19=日大)は75・50で9位、戸塚優斗(ヨネックス)は69・75で10位、平野流佳(太成学院大)は転倒もあり13・00で12位だった。
昨夏はスケートボードで、1年延期となった東京五輪に出場し、準備期間は半年間しかないなか、それでも二刀流を貫いた。「横乗り」で共通している競技と思われるが、平野は取材に「乗っているものも、季節も、会う人も、滑る場所も、全部違う。同じ五輪でも、全然別物の世界観。細かくいうとキリがないくらい、全て違う」と、異競技での環境に戸惑いながらも、それを刺激として楽しみ、自然体で臨んでいた。
「時間に追われている感じがあるけれど、自分にとっては大きなチャレンジ。半年しかない中でみんなを上回りたい。実現したら面白い」と、あえて「遠回り」とも思える道を歩き、競技でのNO1と同時に、平野にしかできない前人未踏の夢ルートからオンリーワンも同時に叶えた金メダルの頂きに到達した。
五輪で“リアル二刀流”に挑む平野歩夢~ナンバーワンからオンリーワンへ(WEB論座、21年12月)
スノボとスケボーで歩む未踏の境地 わずか半年で夏冬五輪出場狙うhttps://webronza.asahi.com/national/articles/2021121000004.html