スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2022年1月30日 (日)

なでしこジャパンアジア杯でタイを7-0で下し4強 W杯9大会連続出場果たす 次はアジア杯3連覇をかけ準決勝「W杯は嬉しいが、アジア杯に集中したい」池田監督

30日=インド・ナビムンバイ 女子W杯のアジア予選を兼ねたAFC女子アジアカップに出場している日本女子代表「なでしこジャパン」は、準々決勝でタイと対戦し7-0で圧勝した。来年のW杯開催国・豪州(とニュージーランドの共催)を含む最大6カ国に与えられる出場権をこのベスト4入りで果たし、91年の第1回大会から(当時はサッカー女子世界選手権)9大会連続のW杯の出場権を獲得した。
 日本はグループリーグ最終戦となった韓国戦(1-1)から先発を4人変更し、GK山下杏也加、DF清水梨紗、DF南萌華、DF熊谷紗希、DF宮川麻都、MF隅田凜、MF長谷川唯、MF長野風花、MF宮澤ひなた、FW岩渕真奈、FW田中美南の11人で出場権獲得の1戦に臨んだ。
 立ち上がり、新型コロナウイルスの陽性判定で戦列を離れていた岩渕を中心に積極的な攻撃で相手陣営に押し込むが、前半9分、田中が負傷して、FW菅澤優衣香が急きょピッチに入るアクシデント。14分には隅田がエリア内で倒されてPKを獲得するも、ゴール左すみを狙った岩渕のシュートがファインセーブされる。田中の負傷、エースのPKが先制点にならず、流れを掴めなかったが。しかし前半27分、長野が左に展開したボールから、宮澤がゴール前に折り返し、代わった菅澤が1タッチで合わせてゴール。前半アディショナルタイムにも、タイの守備を崩して、長谷川の縦パスを受けた岩渕が折り返したボールが、コール前の混戦でこぼれると、宮澤が押し込んで、相手の気勢をそぐ絶好の時間帯にリードを2点として前半を折り返した。宮澤は、待望の代表初ゴールとなった。
 2点のリードで余裕を持てたため、後半開始から岩渕と長谷川をベンチへ下げ、MF猶本光とFW植木理子を投入。後半3分には、宮川が左サイドから展開し、菅澤、隅田で3点目を奪ってリードを安全圏に広げた。
 後半20分には、菅澤がこの試合2度目のPKを奪うと、自ら決めて4-0とし、31分には、植木がドリブルで仕掛け、右足で5点目、植木は大会3ゴール目を奪った。さらに35分には猶本の横パスを受けた菅澤が、ミドルシュートで
ハットトリックを決めた。菅澤は4点目も決め、7-0で完勝した。
 昨秋、東京五輪まで率いた高倉麻子監督の後任に就任した池田太監督(51)は、会見で冷静に「もちろん大変うれしく思うし、W杯のことを考えれば、そこまでに成長しないといけないと思う。まずはアジア杯に集中したい」と、2014年(佐々木則夫監督)、18年(高倉監督)と2連覇中のアジア杯3連覇に照準を切り替えた。9大会連続W杯出場と、アジア杯の2大看板を守るのが、なでしこジャパンの今大会の使命だ。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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