スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2022年1月18日 (火)

吉田の居ぬ間に・・・CBのポジション争いが日本代表の総合力アップ、活性化を呼び覚ますか 日本代表合宿2日目

18日=千葉県内 27日、2月1日に埼玉スタジアムで行われるW杯アジア最終予選に向かう日本代表が、合宿2日目、海沿いの強い北風を受けながら初日に続き11対11を行うなど実践でのメニューをこなした。森保一監督(53)は合宿が始まる前日の16日、オンライン取材でキャプテンの吉田麻也(33=サンプドリア)は太ももの負傷で、FWの古橋亨梧(セルティック)、MF三笘薫(サンジロワーズ)、DF室屋成(ハノーバー)、GK谷(湘南)らもそれぞれ負傷のために予選2試合への招集はできないと明かしており、不在の選手のポジションを誰が埋めていくのか、これまでのメンバーとは違った新戦力の台頭に大きな期待を寄せている。その表れか、普段の代表合宿では、練習中の選手とは距離を取って全体像を注意深く観察する位置に立つ監督が、選手と近い距離でワンプレーごとに声をかけるなど期待感が漂った。
最終予選全6試合にフル出場し、昨年の東京五輪にオーバーエージで参加して以来、カテゴリーにかかわらず日本代表をけん引してきた吉田の不在は、ピッチ内外でネガティブな要素にも捉えられる。しかしこの日も、C大阪でCBを担う20歳の西尾隆矢が前日に続いて、谷口彰悟(川崎)とCBにポジションを構え、ゴール前では再三体を張ったDFを見せるなど「自信がある」という対人で猛烈にアピール。午前中のオンライン会見では「僕は吹き飛ばされるのがサッカーで一番嫌い。当たるからには逆に(相手を)吹き飛ばすくらいの方がいい」と、代表に初めて呼ばれ「びっくりした」と言いながらも、日本最高のトレーニングに全力で挑んでいるようだ。
22日、W杯予選のメンバーが発表され、吉田とCBを組んできた23歳の冨安健洋(アーセナル)がキャプテンに抜擢される可能性もある。また東京五輪にも出場し、現在ドイツ2部のシャルケで3バックのコントロールで安定したパフォーマンスを見せる板倉滉には先発の絶好機だ。23歳の冨安、24歳の板倉の20代CBコンビ、またこの競争に、何人のDFが参戦するか注目される。
森保監督は、「総合力で戦っていく。(吉田らの欠場は)確かに痛いが、新たな選手が出てくるという楽しみもある」と話す。CBで主将と「不動」の地位を築いてきた大黒柱の欠場をプラスに変えられるかが試されると同時に、初戦の黒星で始まってしまった「守りの」最終予選で、なかなか着手できなかったメンバーの活性化で「攻めの」予選に転換できるチャンスでもある。鬼ほどの存在感を持つ吉田の居ぬ間に新しい変化をみられるだろうか。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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