スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2021年10月 8日 (金)

サッカー日本代表W杯最終予選 サウジアラビアと3戦目で0-1と致命的な2敗目  

7日午後8時キックオフ(日本時間8日午前2時)=サウジアラビア・ジッダ 現在1勝1敗とグループ4位の日本代表にとって、早くも山場となるサウジアラビアとのアウェーは、コロナ禍で上限が定められてきたスタジアムの様子とは一変、相手サポーターでほぼ満員となったスタジアムで、中東独特の声援のリズムが刻まれるなかキックオフとなった。
 最終予選2連勝で好ダッシュを切ったサウジアラビアは徹底してボールを保持するスタイルで、日本は奪ったボールを前線に素早く送ってチャンスにつなげる形で対抗。前半6分、柴崎がアウェーでの戦いにチームを鼓舞するように立ち上がりに思い切った無回転のミドルシュートを放つ。国内でプレーする選手で固めたサウジに対して、日本は縦に速い攻撃を仕掛けて、24分には、DF冨安からのロングボールに右サイドの浅野が走ってDFの深い位置へ。ここからゴール前の南野に送ったクロスをヘディングシュート。GKに阻まれたが、9月の2連戦を欠場した南野が試合に入る決定機を生み出した。29分にも、鎌田の正確なスルーパスを受けた大迫勇也が裏に抜け出し決定的チャンスに右足でシュート、しかしGKにセーブされてしまった。前半はともに決定機を決められずに終了。一方、GK権田をはじめ守備陣が粘って後半へつなげた。
 後半もサウジアラビアがボールを保持して主導権を握り、日本はサイドを使いたいところ、ボールがなかなか出ない14分には、浅野と原口、南野と古橋を代え、前線の活性化をはかろうと、森保監督がカードを切った。しかし後半26分、右サイドで柴崎が吉田へ送ろうとしたバックパスを、狙っていたアルブリカンにさらわれ、そのままゴールへ運ばれ最後は権田の股を抜かれるシュートで先制されてしまった。引き分けでも勝ち点を重ね、何とか負けずに上位に食らい付いていかなければならない最終予選で、痛いアウェーの失点を喫したことで、試合は完全にサウジアラビアペースに。柴崎を守田、鎌田をオナイウに代えて重心を前に移そうと試みるが、サウジアラビアの前線からの早いチェックに苦戦しチャンスを作れないまま、試合は4分のアディショナルタイムへ。最後に長友と中山を交代しカードは使い切ったが、結局ゴールを奪えないまま、日本は1勝2敗とW杯出場の敗戦ボーダーライン2敗を喫し大ピンチに。12日の豪州戦(埼玉スタジアム)に向けてこの後チャーター便で帰国し準備に入る。

[ 前のページ ] [ 次のページ ]

このページの先頭へ

スポーツを読み、語り、楽しむサイト THE STADIUM

増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

最新記事

カテゴリー

スペシャルインタビュー「ロンドンで咲く-なでしこたちの挑戦」