スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2021年10月24日 (日)

世界体操鉄棒 内村の完璧な着地に場内総立ち 橋本大輝は銀メダルを獲得 日本は金2、銀5、銅1

世界体操最終種目となった鉄棒では、予選を5位で通過した内村航平(32=ジョイカル)が、14.600点(Eスコア8.00点、Dスコア6.6点)で6位となった。五輪で落下した際のひねり技もしっかりと決めトラウマを払拭、場内からもH難度の「ブレッドシュナイダー」を決めた際と同じほど大きな拍手が送られた。代名詞でもある着地を完璧に止めて、3歳まで育ったルーツのある北九州のファン、海外の選手たちまでも総立ちにさせた。
 五輪でこの種目金メダルを獲得した橋本大輝(20=順大)は、前日の種目別を疲労のため欠場し万全のコンディションで臨んだ。内村の演技に場内の雰囲気を勢いに変え、ノーミスの演技を見せ、15・066点(Eスコア8.566点、Dスコア6.500点)をマーク。銀メダルとなった。内村の最終結果は6位だったが、32歳のレジェンが肩を痛め、個人総合から鉄棒に絞って新たなチャレンジを続けたこの何年かでたどり着いた「着地」は、地元北九州のファンのみならず、多くの人々の心を震わせた。今大会、男子は、橋本の個人総合、鉄棒、米倉の跳馬、南のゆか運動、萱のあん馬と5つの銀メダルを獲得。女子は、村上がゆかで金、平均台で銅、芦川が平均台で金メダルを獲得し、金メダル2、銀メダル5、銅メダル1、8つのメダル獲得で閉会した。
橋本のコメント(表彰式後のオンライン、要旨抜粋) 簡単なこと、基礎的なことができていなかったのが今大会の悔しいところ。自分の演技に集中してベストを出した。お客さんが遅くまで応援してくれたことに感謝する。これで体操に興味持って下さったらうれしい。(内村と競技できて)貴重な時間を過ごすことができた。これからの課題はまずは着地。今大会でやることが山積みのように出てきた。まずは一端整理する。パリ五輪では団体、個人総合の金メダルを狙う。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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