スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2021年10月23日 (土)

世界体操男子種目別ゆかとあん馬で南一輝、萱和磨が銀獲得 「ワクワクが止まらない」五輪と連続メダルの萱、ポジティブ思考で初の銀

23日=北九州市立総合体育館 世界体操種目別決勝が行われ、男子ゆか運動では、世界体操初出場の南一輝(仙台大)が、14・766点で2位となった。初の大舞台に「ビビッた演技をやるよりも、思い切った攻めた演技をしようと話していた。ちょっと悔しい思いはあるが、率直にやり切ったかな、と思う」と、初めて経験する大舞台を銀メダルで終え、21歳は安堵の表情を浮かべた。
 山口・下関市出身と北九州に近く、この日も家族が見守る目前でシライ2(F難度)などを決めメダルをもぎ取った。今回の初出場を「新しい経験となった」と大きな弾みに、来年の世界選手権での代表入りを狙う。この種目優勝はニコラ・バルトリーニ(イタリア)で
14・800点。萱和磨(24=セントラルスポーツ)は14・533点で6位だった。

 東京五輪あん馬で銅メダルを獲得した萱は、あん馬で14・900点で2位となり、東京五輪に続く表彰台に立った。演技冒頭にF難度の「ブスナリ」を決めると、会場のファンを巻き込んで一気に流れに乗った。今大会は、慣れ親しんでいる日本製の器具ではなく、中国製の器具が導入されており、あん馬では特に攻略に多くの時間を費やしたという。試合後「(器具が)悪いのではなく、僕の調整が悪いので」と前置きしたうえで「銀メダルも価値があるが、今までの自分と違った中で演技できたのがいい経験になった。練習しまくったおかけでできた」と、笑顔で五輪後の難しい調整で獲得した結果に手応えを明かした。優勝は、ティーブン・ネドロシク(米国、15.266点)、萱と同点で銀となったのは翁浩(中国)。
 種目別ゆかでは、橋本大輝(20=順大)の棄権で急きょ出場が決定。しかし「あん馬のためにも会場の雰囲気を知るのにプラスになるはず」とポジティブな思考で出場を即答。「昨晩からもう(出場に)
ワクワクが止まらない、というか、明日もこの雰囲気を存分に味わって演技をやりたい」と、あん馬の感動に浸る間もなく種目別平行棒へと早くも気持ちを寄せた。
 22日、個人総合決勝で2位となった橋本は、種目別の床運動とあん馬の決勝を「右手首炎症による痛み および 疲労蓄積による腰痛のため棄権」と日本体操協会が発表。個人総合決勝では中国の張博恒とわずか0・017点差の銀メダルで、東京五輪に続く、世界大会2連覇はならなかったが、
24日の最終日種目別平行棒、鉄棒に出場予定。東京五輪で金メダルを獲得した鉄棒では、内村航平(32=ジョイカル)との直接対決に注目が集まっている。
種目別女子跳馬 ①レベッカ・アンドラ―デ(ブラジル)14.966点
   女子平行棒①ウェイ・シャオユアン(中国)14.733点
        男子つり輪①蘭星宇(中国)15.200点

 

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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