「エールあり、辛口批評あり、号泣あり、なつかしさと夢もあり・・・日本サッカー協会100周年記念イベント」新型コロナウイルス感染予防に出席者全員検査で実施
10日=千葉県内 日本サッカー協会の記念すべき創立100周年を迎え、協会関係者、報道陣らが出席して行われた。日本協会会長時代、Jリーグを立ち上げ日本協会会長時代に「2050年までにW杯に優勝する」などの「2005年宣言」夢があるから強くなる、を行った川淵三郎氏、1968年メキシコ五輪で日本のエースとして銅メダル獲得に導いた釜本邦茂氏、日本代表監督を務めたジーコ氏や岡田武史氏、かつて日本代表を支えたラモス瑠偉氏、カズ・三浦知良(横浜FC)など日本サッカー界を代表する顔が一堂に集結した。式典は100年前からの歴史を振り返りながら、節目で壁を突破してきた関係者、選手たちの言葉を実際に聞く形の物語で親交。サッカー界が100年をかけて何を積み重ねてきたかの重みを、レジェンドたちが目に見える形で教えてくれる式典となった。
式典中、87年に協会名誉総裁に就任された高円宮憲仁親王を、日本サッカー殿堂に特別に「敬意をもって掲額(殿堂入り)させて頂いた」と、田嶋会長が発表した。
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「100周年という節目にはきちんと出席したい」と、招待に対し練習のわずかな合間を縫って出席したカズ(三浦知良、54=横浜FC)は「時代によって、100年前と50年前、僕がブラジルから帰ってきた30年前では比べることはできないが、全て変わっている。日本におけるサッカーの価値観も30年前から進化しているし、同時に世界も進化しているので、まだ世界のトップに追いつくには時間がかかると思う。努力も必要」と、自らが築いたプロサッカーの歴史を振り返った。
また最終予選をスタートした森保ジャパンに対しては「厳しいコメントは釜本さんに任せて僕らはやさしめにね」と笑いながら、「最終予選というのは1試合も余裕を持って勝てる試合はない。応援するほうも同じ気持ちでいられれば。常に連絡を取り合っているので激励したい」と、エールを送った。コロナ禍でも、世界に先駆けて日本でサッカーの試合が始まった点を「日本にしかできないものだったと思う」と、厳しいルールを関係者が守りながらサッカーを止めなかったとし、海外にいる選手と交わす意見などを「日本から世界に発信できるものは伝えていきたい」と、101年に向かう日本サッカー界からの積極的な発信の重要性も強調した。
田嶋幸三会長も7大会連続のW杯出場を目指す日本代表、森保監督に対し「10月はW杯予選でグループ1位のサウジアラビア、2位のオーストラリアと戦う。前半の大きな山場です。森保監督を皆でサポートし、この2つの試合をしっかりと戦いたい」と、全幅の信頼を示し、出席者にも支援を呼びかけた。
一方で辛口の叱咤も。先陣を切ったのは日本代表で通算75得点の釜本邦茂氏。中立国とされたカタールでのアジア最終予選2戦目、1-0で勝ち点を奪った中国戦について「0時過ぎに疲れてしまった。中国戦は見ない方が良かった。ボール回しをしていてもうまくならない。点を取らないと勝てない。FWは枠が見えたら枠目掛けで蹴ればいい」と厳しい一言。
前回大会までビーチサッカーの監督として、今年のロシア大会準優勝の基盤を作るけん引をしてきたラモス瑠偉氏も、「今の選手は上手だけど、僕はここで(代表戦で)死んでもいいと思って戦っていた」といつもと変わらぬ熱さで訴えていた。ラモス氏は、自身が病気で危険な状態に陥った際の、多くの励まし、監督を打診してくれた協会関係者への感謝を口にするうちに、号泣をしてしまい、会場が拍手を送る場面もあった。
98年、日本代表を始めてW杯に導いた岡田武史氏は現在、今治FCの会長兼オーナーで「経営を始めて7年。7年でも潰れそうになったり色んなことあるのに、100年というのはすごいこと。僕のなんかは最後のちょっとしかいないから、田嶋会長が言っていたように色んな人が積み上げてきてくれたということでしょうね。(式典を経て)改めてサッカーをやっていてよかったなと思います」と、現在の立場を象徴するような目線でコメント。 協会の相談役・川淵三郎キャプテンも、長編のビデオに「100年のうち、85年は(サッカーと)一緒に生きて来たんだな、と感慨ひとしおだった」と、ユーモアを交えて
84歳の現在を表現。「田嶋会長がこれからの100年を語り、W杯優勝は間違いないと確信を持った」と話した。 歴史の節目を作り、次世代へつないだレジェンドたちの喜怒哀楽、強烈な個性、迫力が一堂に会したことで、サッカー協会の100周年の道のりがより豊かなものとして示されたように感じた。
歴史と、協会を引っ張る日本代表は、W杯7大会連続出場がかかる最終予選で10月、開幕2連勝のサウジアラビア、オーストラリアと対戦する。