スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2021年7月24日 (土)

なでしこジャパン 3戦目チリ戦でのGステージ突破にかける 「プラン通り」の試合運びもキラーにゴールを奪われる

高倉監督の体制ではイギリスには3戦3敗、この日で4戦4敗と、一度も勝っていない。しかし、2011年、アメリカとのPK戦を制して初の優勝を果たしたW杯ドイツ大会、実は最強に見えたなでしこジャパンもグループリーグでイギリスには負けている(グループ2位でトーナメントへ)。過去にさかのぼっても苦手な相手だ。
19年のフランスW杯の年は、国際親善試合で0-3、本番のW杯フランス大会で0-2、昨年も国際親善試合で0-1。昨年の試合を除く2試合に共通するのは、試合の序盤の失点だった。19年の2試合はともに、前半12分と14分。また19年のW杯で2点を取られた「日本キラー・ホワイト」に、この日もゴールを奪われてしまった。
 高倉監督も「立ち上がり、とか、試合の入り方には気を付けてね、とずっと言っている。修正しなくては」と初戦後にも話した。外国勢は立ち上がりから
パワーで圧倒してくるケースが多く、受けて立っている間に失点してしまう。しかしこの日は、序盤の失点、前半の失点を、組織的な、粘り強いマークで抑えた。負けた試合の収穫だろう。
「DFを組織し、プラン通り無失点で前半を終えたが、(失点の場面)そこの一発で決められたのは悔しい」と監督は唇をかむ。守備の集中力、そこから人数をかけて攻撃に行く形は、次戦のチリに何としてもつなげなくてはいけない。
チリに勝てば、イギリスとカナダの試合の結果によってはまだ2位通過ができ、3位通過の可能性もある。22人で戦いながら成長する、とチームで掲げた目標を実現するには、チリに勝つのが大前提だ。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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