スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2021年7月28日 (水)

男子サッカーメダルへ前進「日々成長、一戦一戦成長している」2-0からの完勝に森保監督手応え  「メキシコ(の銅メダル)はちょっと(昔過ぎて)分かりませんが・・・自分たちが新たな歴史を作る」GK谷

28日=横浜国際競技場 男子サッカーのグループリーグ最終節が行われ、すでに勝ち点6を手にしていたU24日本代表は、フランスに4-0と完勝し、3戦全勝、勝ち点をただ1か国9まで伸ばして12年ロンドン五輪以来2大会ぶりとなる決勝トーナメントに進出を果たした。31日の準々決勝で、B組を2位で抜けたニュージーランドと対戦する。
 南ア、メキシコと2連勝を果たした日本は勝ち点6を持ち、この試合、引き分け以上で突破が決まる好条件で、2戦目のメキシコ戦から先発3名を交代。左足首の負傷で戦線離脱していた冨安健洋がスタメンに復帰し、1トップには上田綺世、左MFには旗手怜央が入った。序盤から日本がボール保持率でもフランスを上回って攻撃を展開。27分、日本は久保建英のスルーパスに反応した上田が強烈なシュートを放ち、相手GKが弾いたこぼれ球に、久保が左足で押し込んで先制。久保は、日本五輪史上で初となる3試合連続ゴールで試合を一層優位に展開することになった。
 34分、久保、旗手のコンビネーションで、抜け出した上田が左足で放ったシュートがまたもGKにセーブされたが、右サイドを後方から走り込んできた酒井宏樹が押し込み、このボールを直接ゴールに流し込み追加点を奪う。日本が2-0とリードを広げて前半を終了した。
 後半、久保に代えて三好康児を投入。55分には2枚目のイエローを受けてニュージーランド戦は出場停止となった酒井に代えて、橋岡大樹を入れる。70分、日本は落ち着いたパス回しから左サイドへ展開すると、旗手からの折り返しを後半入った三好が左足でシュート、ゴール左へ決めて、サッカーでは「(逆転される)危ない点差」とされる2-0から、3-0へとどめを刺す決定的なゲーム展開をフランス相手に実現した。
 その後は、三好へラフプレーでランダル・コロムアニがレッドカードで退場。森保監督は、堂安律に代えて相馬勇紀、遠藤航に代えて板倉滉、田中碧に代えて前田大然を投入し、過酷な中2日の日程から少しでも選手にリカバリーの時間を与えるための起用を見せる。終了間際には前田が決定的な4点目を奪って、4-0で完勝。勝ち点を9まで伸ばした。森保監督は酷暑のなか厳しい日程を終えた手応えについて「選手は日々成長、一戦一戦成長しながら勝利を掴もうと努力している。相手のFIFAランキングが自分たちより上であっても、同じ目線で戦えている自信が、いいレベルアップにつながっている。選手は慢心も過信もなく、とにかく上を目指してくれている。今の状態を継続していきたい」と、ニュージーランド戦へ油断は微塵もなかった。

〇・・・GKの谷が森保監督と会見に臨み、68年のメキシコ大会以来のメダルに前進したと聞かれると、「(メキシコ五輪については)ちょっと分からないです」と半世紀以上前の歴史に率直な感想を漏らし会場の笑いを誘った。しかし、「僕たちが目標とする金メダルを必ず取って、日本サッカーの歴史を変えたいと思う。自分が一戦一戦成長しながらやれているな、という自信がある。チームとしても成長しながら目標に向かってやっていきたい」と、メキシコ越えをはっきり見据えていた。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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