東京五輪・パラリンピックの感染リスクを検討する専門家会議開催「最後に説得力を持つのは専門家の方々の助言とファクトに基づいたシミュレーション」中村MOC 今月の観客上限決定に向けて判断材料に
11日=都内 7月23日に開会する東京オリンピック、8月24日に開会する東京パラリンピックの感染対策を検討する「第3回専門家ラウンドテーブル」が行われ、6月中の観客上限決定にむけ、感染の様々なリスクを分析した。そのなかで最大収容人数に対する割合として提示された同大会の販売済みチケットが現在、全体の42%であることも分かった。組織委は、大会延期前に公式サイトを通じて国内は五輪が約448万枚、パラが約97万枚の販売を終えていたとしていたが、その後、観客や関係者等への払い戻し、さらには今年、海外観客の受け入れを全て断念した結果、全体の42%まで下がっていた。全体の数字をならしたもので、会見で中村英正MOC(メイン・オペレーション・センター)チーフは「既にそういう状況(相当数人数が抑えられているという状況)。追加販売をしなければ、販売済み枚数はこの程度になる。もちろん、会場によっては50%を超えているところがあるので、各会場全ての平均が42%になる」と説明した。すでにチケットホルダーがここまで減少している数字から、無観客の選択肢は現実的ではないだろう。
会議では最大の焦点となる「人流」について、大会の観客による人流の増加は、夏休み期間で減少すると見込まれる通学者の人流よりもさらに少ないと試算されている。1都3県以外からの都内への来訪者は、チケット販売数から割り出した結果、全体の25~33%になり、ピーク時での観客数は1日21万5000人と予測。Jリーグでの感染症対策として調査、分析を続けてきた「産業技術総合研究所」のデータをもとに、感染リスクは低いとしたが、さらにリスクを低くするための対応策が必要とした。
座長の岡部信彦氏(川崎市健康安全研究所長・調整会議メンバー)は「五輪があろうがなかろうが、7.8.9月とリバウンドは必ず来るので、対策はきちんとやらないといけない。描き出すシミュレーションは取っておいて、選択をしていく必要はあると伝えた」と説明。東京大学医科学研究所が開会式でリスク分析を行った際には、換気、マスク着用、手洗いを行った場合、対策をしなかった場合と比較して感染リスクを99%低減できると指摘。中村氏は、「最後に説得力を持つのは専門家の方々(の助言)とファクトに基づいてシミュレーションをするのが一番、安心、安全に近づく道ではないか。いろんなケースを想定しないと安心安全な大会は開けない」と話し、6月に決まる観客の上限数、プレーブック(感染対策の基本ルール)の策定を進めるとした。専門家会議は7月にももう1度行われる。