スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2021年5月14日 (金)

体操五輪選考会(NHK杯、長野)種目別鉄棒で4大会連続出場狙う内村航平「選手は五輪開催決められない。議論の暇があるなら体操し、練習し、試合に出て仕事をする」 

14日=オンライン 体操男子の種目別鉄棒で東京オリンピック金メダルを狙う内村航平(32=ジョイカル)が、五輪会場となる長野の「ビッグハット」で公式練習を行い、その後、選考会となるNHK杯(15日女子、16日男子)への抱負、五輪への思いをオンラインで話した。鉄棒のH難度の技「ブレトシュナイダー」については、全日本の後、ビデオを「繰り返し、繰り返しビデオを見て、どこか合っていない」と、自身が感じた、ブレトシュナイダーを含み、コールマン、カッシーナといった離れ技、また着地の安定感がない点と大きく2点について、改めて精度を確認したという。「順位とか得点とか成績とか、そういうものを求めているのではないかな、と。本当に好きで始めた体操で、ここまでやってきた。ここで鉄棒1個に絞って、これまで以上に、自分が満足する演技を追求していかなくてはならないと思うし、やって来られているので、そこに全てをかけてやりたい。今回に限らず、満足して超えていって、また満足して・・・を繰り返していきたい」と、五輪選考会を前にし、アスリートとしての矜持を口にした。
オリンピックについて、開催反対のみならず、選手への逆風まで吹き始めている。内村は落ち着いた口調で、「まだ僕は五輪代表じゃない。あるかないか議論する立場じゃないし、選手が(開催を)決められない。だから目の前のできることをやる。体操をやること、練習をすること、試合に出ることを仕事としてやっている。議論している暇があったら練習しようかな、と。日々、考えながら過ごすと、そういう考えになった」と話し、どれほど考え抜いたか分かるほどの「答え」にたどり着いたようだ。4月の全日本選手権では代表選考の指標となる世界ランキング1位の得点を、2日間の演技でともにクリア。個人総合で臨んだ過去五輪3大会とは違う「オリンピックへの道」を踏みしめている。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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