スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2021年5月 4日 (火)

5日札幌でマラソンテストイベント「(五輪延期、ケガ、逆風に)事実を受け止めて成長に」鈴木亜由子「行きたい我慢、維持する我慢で収穫を」服部勇馬

4日=札幌 東京五輪のマラソン会場となる札幌市内周回コース使うテストイベント、「北海道・札幌マラソンフェスティバル2021」(ハーフマラソン=午前9時50分スタート)を5日に控えて会見が行われ、マラソン男女6人の代表のうち、大迫傑(ナイキ)、中村匠吾(富士通、左足甲の痛みで欠場)の2人を除く、男子は服部勇馬(トヨタ自動車)、補欠の大塚祥平(九電工)、橋本崚(GMOインターネットグループ)、女子は前田穂南(天満屋)、鈴木亜由子(日本郵政グループ)、一山麻緒(ワコール)、松田瑞生(ダイハツ)の4人が揃った。
 服部は今年元日のニューイヤー駅伝以来のレースとなり、今回のレースを機に、五輪に向けてのトレーニングを本格化させるプランだ。昨夏には3日間かけて試走をしたという。今回のコースでも北海道大学内はカーブが連続する「難所」と捉え「(昨年のように)1人で走るのと、集団で走るのとは違う。確認したい」と、ジグザグとしたコース攻略を狙う。今回、比較的涼しいレースと見られるが、あえてタイム設定を1㌔3分5秒程度に設定するのも本番をにらんだペース配分で、しかも、メンタルでのプラスを計算している。
 「(今回いいペースで走り過ぎてしまうと)どうしても真夏の(五輪で)マラソンで、ハーフではあんなにうまく走れたのに、とどうしても残像に(ギャップが生じて)やられてしまう。あすのハーフでは、(ペースをあげたくて)行きたいのを我慢するのと、ペースを維持する我慢と両方をやってみたい」と、ターゲットを明確にした。
 女子では昨年からケガが続いた鈴木亜由子が久しぶりのハーフに出場する。
五輪が延期になり、続けてケガをするなど苦しい1年だったが「事実を受け止めて、成長につながった。(初マラソンで初優勝した北海道で)初マラソンの時の気持ちが蘇ってきたので、いい走りができるといい」と、縁起の良い場所から本格的な再起に挑む。
 マラソン、競歩陣は、東京の酷暑に対応するため、2年半にも及ぶ選考会で、暑さに対しコンスタントに力を発揮できる選手を選んだが、一昨年、IOC(国際オリンピック委員会)などの一存で札幌へ移転。昨年は五輪が初の延期となり、マラソン代表、競歩代表は常に厳しい状況にも日本代表の先頭で走ってきた。今回も感染拡大で札幌ではテストイベントに批判的な意見もある。ずっと強い「向かい風」のなか五輪を目指してきただけに、テストイベントで、自らを改めて奮い立たせようとしているようだ。
 

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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