スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2021年5月17日 (月)

初の女性主審となった山下良美氏が会見 「一生懸命走って、見る。女性が男性の試合を担当するのが当たり前になるように」

17日=オンライン 16日に行われたJ3リーグ第8節「Y.S.C.C.横浜」対「テゲバジャーロ宮崎」戦(宮崎2-0)で、女性として初めてとなるJリーグの主審を山下良美氏(35)が務めた。開始10分には、宮崎GK植田峻佑がPA外に飛び出し、FWンドカ・チャールスをタックルした場面で笛を吹いて、GK上田に警告を出した。これがいわば「主審デビュー」となり、その後も試合の流れに乗って主審を務めあげた。この日は試合を振り返り「感謝の気持ち、責任、いろんな思いを背負って臨んだ。とにかくほっとした」と、安堵の笑顔を浮かべた。審判としてのポリシーは「一生懸命走って、(場面を)見る」だそうで、そのためには男子の試合のスピード、スタミナが必要になる。毎日2時間、瞬発力、持久力、などそれぞれをテーマにして厳しいトレーニングを欠かさない。疲労回復のための食事や睡眠も、一層気を使う。
「女性審判員が男性の試合を担当するのが当たり前になっていくのが目標。こうして注目をされること、今回、私がJリーグという選択肢を与えてもらったように、審判4級から係わる女性たちに社会全体で選択肢を狭めないでもらえたら嬉しい。私にできるのは目の前の試合に全力で取り組むこと」と、言葉に力を込めた。
山下氏は2012年、女子1級審判員に登録、19年の女子ワールドカップフランス大会でも笛を吹くなどキャリアは周知だった。同年5月には、AFC主催の国際大会史上初めて、女性審判がセットを組んで男子の試合を担当している。2019年12月に男子のトップリーグを担当できる1級審判員に登録されていた。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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