スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2021年5月 9日 (日)

五輪テストイベント 男子3千㍍障害で三浦が日本新、男子4百㍍障害でも黒川ら3人が五輪参加標準記録突破 百㍍は39歳ガトリンがV

男子100㍍は、39歳のジャスティン・ガトリン(米国)が10秒24(スタート時間0秒139)で優勝、0秒136で好スタートを切った多田修平が10秒26で2位、3位には小池祐貴(ともに住友電工)が入った。多田は、絶好のスタートでトップに立ちながら終盤、隣(ライバル)を見てしまい、タイムを落とした。ガトリンは、今大会、様々な制限を受けて来日した理由について、「オリンピックに向けて、どれくらい安全な(感染)対策が行われているか、また、国民の皆さんをどうやって(感染から)守っているかを確認したかったので来日を決めた。非常に良かったと思っている。確かにほかの大会と比べて異なるやり方だが、順応できている」と、今後続く米国内選考会を経て、39歳での出場に意欲をのぞかせた。また、東京オリンピックについて、「もちろん開催を信じて練習している。スポーツで全ての国が、同じ目標を、同じ時に追いかけられる大会だ。私は日本の皆さんの温かいホスピタリティにいつも励まされ、感謝してきた。戻って来るのを楽しみにしている」と話していた。また、決勝を棄権したケンブリッジ飛鳥(ナイキ)ケンブリッジ飛鳥は「先月の出雲に引き続き、左脚ハムストリングに違和感がありましたので、大事をとって棄権させていただきます。山あり谷ありですが、万全な状態でレースへ挑めるよう身体を作り直して、次戦に挑みたいと思います。引き続き、よろしくお願い致します」と、組織委員会を通じてコメントした。

〇・・・多田、小池は、感染症対策について「PCR検査を2度行って参加したのは初めて。五輪に向かって対策の充実ぶりを実感した」と話し、小池も、「体調管理はチーム全体でも行ってきたし、器具はすべて1回使って消毒とよく考えて準備されていた」と、ともに戸惑いより安心感を収穫とした。

〇・・・男子3000メートル障害では19歳の三浦龍司(順大)が8分17秒46の日本新記録を樹立し、東京五輪参加標準記録もクリア。従来の日本記録は岩水嘉孝の8分18秒93で、三浦はレース後、「国立競技場で走って、五輪の現実味が増した。最後の1周までタイムは見ていなかった」と、無欲の日本記録を喜んだ。また男子400メートル障害は黒川和樹(法大)が48秒68で制し、48秒84で2位の山内大夢(ひろむ)(早大)、48秒87で3位の豊田将樹(富士通)も五輪参加標準記録を切った。

〇・・・男子200㍍では、飯塚翔太(ミズノ、追い風1・4㍍)が20秒48で優勝。3日の静岡国際陸上に続き、目標としていた東京五輪の参加標準記録20秒24はクリアできなかったものの、オリンピックランキングはこの日の優勝と20秒48で、30位以内までジャンプアップすることが予想され、こちらでの条件クリアが視野に入った。飯塚はロンドン、リオ五輪代表で3大会連続の五輪代表を目指しており、この日は「アップ会場から招集場、スタートまで、歩いて会場に入ってくるルートや雰囲気まで確認できた。次はオリンピック本番で走るのをイメージして楽し」と、収穫を口にした。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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