スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2021年4月14日 (水)

都と組織委員会とIOC 五輪期待の選手たち 深刻なコロナ感染状況と聖火リレー中止 それぞれが複雑にもつれる五輪100日前

14日=都庁ほか 東京都・小池百合子知事は東京オリンピック開会式まで100日前となったこの日、都庁で行われたイベントで「まん延防止等重点措置」の期間中に、新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込み、大会開催に向けて準備を進めるとの考えを示した。都庁のイベントでは、大会マスコットの「ミライトワ」「ソメイティ」の像(今後感染の状況で一般公開も検討)、また高尾山山頂には、本来なら昨年4月に展示されるはずだった五輪シンボルマーク(8月8日まで展示)のモニュメントが、1年遅れて設置されるイベントが開かれ、ともにオンラインでつなぎ同時進行した。小池氏らとイベントに出席したJOC(日本オリンピック委員会)の山下泰裕会長(63)は「世界のトップアスリートたちが最高のパフォーマンスを発揮し、競い合い、お互いの健闘を称え合って交流を深める姿は、コロナ禍で苦しい状況に置かれている人々に明るい話題を提供し、希望の光をともすと確信している」と期待。競泳の日本選手権で4冠を達成した池江璃花子(20=ルネサンス)と、一昨日、男子ゴルフのメジャー「マスターズ」をアジア人として初めて制覇した松山英樹(29=LEXUS)に「我々日本国民に大きな感動、希望、勇気を与えてくれました」と快挙に触れ、大絶賛していた。

この日は、競泳の五輪代表、瀬戸大也(26=TEAM DAIYA、萩野公介(26=ブリヂストン)、池江が代表としてオンラインでの合同取材に応じ、また、体操でも18日まで行われる五輪選考会、全日本体操個人総合選手権(高崎アリーナ)で公式練習、オンライン取材が行われた。池江は「やっと代表に戻ってこられてよかった」と柔和な表情で話し、瀬戸は昨年の五輪延期、不祥事からここまでの道のりで、4年に全力をかけた気持ちを切り替えられず、8カ月も練習をできなかったと告白。「もう一度日の丸を背負わせてもらえて有難いという気持ち」と、感謝を口にした。
また萩野は「(五輪は)何もかもが特別な大会で自分が一番好きな場所でもある」と、3度目の五輪出場に充実感を漂わせる。開催を改めて断言したIOC、まん延防止重点措置で感染の流れを止め、五輪への準備を進めると改めて明言する小池都知事、一日の感染者が4000人を突破し開催は不可能という空気が流れ、代替案を検討する時間もないまま、聖火リレー中止に追い込まれた愛媛県松山市。そして、日本にとって期待種目のトップ選手たちが五輪の目標を、感染状況と国民感情に最大限配慮するように控え目に、しかし、思いを込めて発信。五輪開会式に向かって、方向が定まらず複雑な事態を象徴するような100日前となった。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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