スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2021年4月15日 (木)

体操の五輪選考会全日本選手権開幕 鉄棒に絞る内村航平「気負わず自分のために」羽生の4回転半挑戦に共感も

15日=高崎アリーナでオンライン 体操の東京オリンピック選考会を兼ねた全日本選手権が開幕した。長年の肩の痛みなどを理由に種目別の鉄棒1種目に絞って東京五輪での金メダルを狙う内村航平(32=ジョイカル)はあすの種目別トライアウトに臨む。東京オリンピックを種目別で目指す場合は、今大会のほか、5月のNHK杯と6月の全日本種目別選手権の結果を踏まえて選出される。内村は取材の中で、 「特に気負わず、準備してきたものをそのまま出きればいいかなと思う。今回ばっかりは自分のために演技したい」と、北京以来4度目、形を変えての五輪挑戦に落ち着いた様子だった。 羽生結弦(ANA)が「クワッドアクセル(4回転半ジャンプ)」に挑戦するプロセスで、内村がH難度「ブレトシュナイダー」(2回転と2回ひねりを折りこむ)に成功した挑戦に「刺激を受けた」と、明かしたエピソードを受け、内村も、「五輪を連覇している同じ立場として、やっぱり得点とか、結果じゃないところに目を向けてやっている。新しいことにチャレンジする。そういうことでしか自分が満足いかない、お互いそういう性格だと思う」と、現状打破に挑む競技姿勢に共感。競技は違うが、回転技術の難易度を極めている点では、むしろ同種目を闘っているような感覚を抱くのだろうか。
2020年、欧州でも権威と伝統あるスペインのスポーツメディア「マルカ」が選出した「21世紀の偉大な男子アスリート100人」では、内村がただ1人、トップ30に入る24位で、日本人の次点は62位の羽生(北島康介が99位)と、技術の探求には世界的にも高い評価と敬意が集まる。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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