スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2021年2月24日 (水)

東京五輪・パラリンピック組織委員会「ジェンダー平等推進チーム」トップに小谷実可子氏就任25日始動へ 橋本会長「国内外への発信力高める」

24日=都内 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会、橋本聖子新会長(56)がIOC(国際オリンピック委員会)理事会にオンラインで出席し、IOC・バッハ会長らに改めて就任のあいさつを行った後、取材に対応した。
橋本会長は、この中で①新型コロナウイルス対策②ジェンダー問題③史上初の延期となった東京五輪の「東京モデル」を将来の五輪に継承する、と3点をIOCに対して優先課題として提起したと明らかにした。IOC,IPC(国際パラリンピック委員会
)、組織委員会、東京都、国による「5者会談」の開催も検討する。
ジェンダー問題については、組織委員会の「ジェンダー平等推進チーム」を25日から始動させ、そのリーダーに、現在組織委員会スポーツディレクターの小谷実可子(54)が就く。25日にも会議をスタートさせ、会長が掲げた「公約」理事会における女性理事の比率40%(この日は超、と表現)を、現在の20%から一気に引き上げるほか、組織内で男女職員へのヒアリング、現場、アスリートら広く声を集めていく方針。小谷氏は「何よりも橋本会長がカッコよく、輝いて仕事ができるようお支えするのが大事だと思う」と話し、新会長が取り組む改革への意欲をにじませた。
また会長は、これまでの組織委員会改革の一端として「国内外に発信し、例えばオンラインでも、アスリート、大会関係者やユース世代の皆さんと交流する機会を作っていきたい」と、オープンな情報公開をあげ、森・前会長の元ではこれまで7年間行われなかった会長による定例会見を開く方針を明らかにした。会長は会見終了後、組織委員会の取材を担当する記者約50人と全員の名刺交換を希望。一人ひとりに「よろしくお願いいたします」と声をかけ、雑談するなど、アスリートらしい姿勢で再スタートへの先陣を切った。
大会ボランティアの辞退者は、この日の発表で森・前会長の発言以降23日まで1000人となり(全体の1%)、島根県・丸山県知事が県内の聖火リレー中止を検討していると発言するなど、五輪への関心に影響するコロナ対策への不安感は大きい。25日にはこうした不安に答える形で聖火リレーの実施について具体的な感染予防対策などが発表される。会長は「各自治体が抱えるそれぞれの不安に対して丁寧にご説明をしていき、理解をしていただきたい」とした。五輪への関心を示すネガティブな数字が出る一方、昨年3月に日本に到着した聖火は場所を明かされずにずっとメンテナンスされており、全国の展示会は、これまで10都府県で実施され5万人以上が見学した。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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