スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2021年2月18日 (木)

2020東京五輪・パラリンピック組織委員会新会長に橋本聖子氏就任「組織委が男女格差是正へ行動を起こす」女性理事比40%を明言 7年前のキス事件は「当時も今も深く反省」

18日=都内 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は理事会で辞任した森喜朗氏の後任として、橋本聖子氏(56)を新会長に選出し、同氏は午後6時から就任会見に臨んだ。会見冒頭、「改めて・・・」と、都民、国民、医療従事者への感謝を表し、聖火ランナーやボランティア、アスリート、スポンサーに向けてそれぞれに対して大会成功を呼び掛ける形であいさつした。IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長とはさっそく電話で会談を行い、「全力で支えるとお言葉を頂き、身の引き締まる思い」と、これまで築いた関係をさらに深くする方向性を示した。五輪組織委員会の女性会長は、夏季五輪では04年アテネのヤナ・アンゲロプロス氏以来となる。
橋本氏は日本スケート連盟会長(当時)で選手団団長を務めた14年ソチ五輪閉会式後に選手村で開かれた打ち上げパーティーで酒に酔い、フィギュア男子代表の高橋大輔に抱きつき、キスをする写真が週刊誌で報じられた。その質問に対して会見で「軽率な行動について深く反省をしている。そういった一連の問題が出され、その当時も今も深く反省しておりまして、経緯を自分自身に受け止めながら会長職を全うすることでしっかりと多様性というもの、あらゆる問題に対してオリンピズムの原則、ムーブメントを着実に進めていくことが皆さま方にご理解いただけることになるかと思う。厳しい声は受け止めている」と話した。森会長の辞任で引継ぎをせざるを得なかった「ジェンダー問題」については、「組織委員会が世界、また国民に向けて行動を起こし、結果を出し続けることが重要だ」と、「(組織委員会の)女性理事の比率を40%にする」と、この日の就任会見中、唯一具体案を提示、今月中にはジェンダー問題の「タスクフォース」を立ち上げ現在の理事会(人数は34名、うち男性27、女性7)の構成を改編する公約をあげた。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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