スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2020年11月 5日 (木)

オシム・元日本代表監督が暮らすグラーツ「検査陰性者のみ、拡声器を使い離れてでもお話したい」反町委員長、日本サッカー界の思い代弁

もしかしたら、こういうチャンスは2度とないのかもしれない。日本代表が10月に続いて欧州遠征を行うオーストリアのグラーツ(会場はStadion Graz Liebenau)で開催される。ここは、日本サッカー界にとって特別な場所でもある。2006年ドイツW杯後10年南ア大会を目指し、日本代表監督を務めたイビチャ・オシム氏が暮らす町だ。今年79歳の同氏は、代表戦が行われると決まった当初から代理人を通じて、代表の公式練習視察ともちろん試合観戦を熱望していると伝えられ、協会側も準備のために連絡を取りあってきた。しかし現在、オーストリアでも感染予防のためのロックダウンが再度始まっており、外出は難しい状況にある。反町委員長は「PCR検査を受けて陰性だった者だけでオシムさんにお目にかかって、話も拡声器を使って離れてする。そのくらいお話したい。代表が遠征できるチャンスなどこれからそうないと思うので、ご高齢であるオシムさんに迷惑をかけないように、何とか実現できればと願っています。お会いできたら涙が出そう」と、日本サッカー界に尽くし、病気で代表監督を離脱した同氏への思いを口にした。グラーツの監督を務めた同氏を街全体が称賛しており、特別措置も検討されているという。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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