スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2020年10月10日 (土)

サッカー日本代表10カ月ぶりに試合 カメルーンと0-0(オランダユトレヒト)後半3バック導入で柔軟性示す「楽しくて、あっという間に90分終わった」吉田麻也主将

オランダ・ユトレヒト9日14時5分キックオフ(日本時間9日21時)気温17.9度、湿度43% 無観客 約10カ月ぶりとなるサッカー日本代表(FIFAランキング28位)の国際親善試合が行われ、FIFAランク53位のカメルーンと0-0のスコアレスドローで初戦を終えた。13日にはコートジボワールと対戦する。
 試合開始直後、6戦連続ゴールを期待された南野拓実が、守備から身体を張ってボールを奪いに行き、日本代表の気持ちが込められたプレーで試合が始まる。立ち上がりはカメルーンがワンタッチの早いテンポでボールを支配。日本は前線から強いプレッシャーをかけ、4分には南野が相手DFにプレスをかけた勢いでGKへのバックパスがずれ、あわやオウンゴールで先制かという場面も。19分には、昨年6月のコパアメリカ以来のピッチとなった中山雄太がボールを奪い、南野がペナルティエリア手前から左足でシュート。22分にも、ワンツーで抜け出した酒井宏樹がゴール前にグラウンダーのクロスを送ると、南野がゴール前でシュートを放ったがゴール右に外れた。キャプテンの吉田麻也と冨安健洋のCBは、これまでの左右を入れ替え、所属クラブでの定位置で右と左に。守備の安定感を見せ、0-0で前半を折り返した。

後半、森保一監督は、安西幸輝に代えて右に伊東純也を投入。最終ラインを冨安、吉田、酒井の3バック、システムを3-4-2-1に変更。中盤を厚くし先制ゴールを狙った。開始直後の49分、相手DFのパスミスを伊東が奪い、右サイドを突破。柔らかいクロスに、ゴール前で大迫が打点の高いヘッドで合わせたが、惜しくも枠を外れる。

 65分には堂安律に代えて久保建英、71分には南野に代えて鎌田大地を投入した。36分には原口元気の右足のシュートもGKの正面で捉えられて、アディショナルタイム最後のプレーは久保のFKに。エリア右外から直接狙ったが、GKにセーブされここで試合は終了。久保は「(相手の)壁の位置が良くなかったので狙えるかと。ゴールキーパーがナイスセーブかな、と思います」と、残念そうに振り返った。森保監督は試合後、オンラインで「先ずは、10カ月ぶりの試合にアグレッシブで勇敢に、粘り強く戦いに挑んでくれた」と、身体能力の高いカメルーン選手に球際で譲らなった姿勢を評価。そのうえで攻撃では連携不足により、せっかく奪ったボールを何度も失った点を反省、修正課題とし、守備では、後半3バックで始めた点について「選手からトライしたい」と前向きな声があったと明かした。吉田も試合後、「こういう環境、状況の中でヨーロッパの選手だけで集まれたというのは、日本代表がひとつ次のステップに向かっているということだとは思います」と話し、90分について「久しぶりの日本代表の試合で本当に楽しかった。あっという間に90分終わってしまった」と、手ごたえを伺わせた。

[ 前のページ ] [ 次のページ ]

このページの先頭へ

スポーツを読み、語り、楽しむサイト THE STADIUM

増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

最新記事

スペシャルインタビュー「ロンドンで咲く-なでしこたちの挑戦」