スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2020年10月 8日 (木)

世界陸連コー会長 国立競技場を視察 「世界選手権をここに持ってきたい」2025年以降の東京開催を熱望 12年のロンドン五輪組織委員会会長として東京への支援も約束

8日=東京・国立競技場 来日中のWA(世界陸連)のセバスチャン・コー会長が雨のなか国立競技場を視察し、取材に応じた。強くなる雨に関係者が配慮し傘を差し出したが、これを断り、スタジアム中を何度も見渡した。「(競技場は)美しい」と称賛し、「世界選手権をできれば国立に持ってきたい」と、最短で2025年に開催される世界陸上開催を熱望した。五輪での国立競技場、サブトラック(仮設)とも国際基準で問題はない。しかし大会後、国立競技場は球技専用競技場に変更され、トラックを取り除く予定で、サブトラックのほうは仮設のため無くなる。将来的に国際大会、日本選手権を開催するためには、両方がセットとなった「第1種」公認を必要とし、現在の国立競技場はメインもサブも五輪限定仕様となっている。
 コー会長は「五輪の華」と言われる陸上競技の会場が五輪限りの「仮設」である点について「(国際大会開催のために)できればトラック、ウォームアップエリアも維持して欲しい。(国立競技場は)日本だけではなく、世界中の選手にとってレガシーになる」と言及。日本陸連、関係者にも影響力のある要望を直接出した格好だ。1991年東京世界陸上では、現在も不滅の男子走り幅跳び、カール・ルイスの100㍍、400㍍リレーと3つの世界記録が樹立された。コー会長は「今まででもっとも素晴らしい世界陸上」と絶賛。国内での世界陸上は91年、07年大阪で行われている。
 
午後には、東京の組織委員会・森会長と面談する。自身が12年ロンドン五輪組織委員会会長として、「アウトブレイク(感染症の突発的発生を意味する)に備えて様々な知見を集め本としてまとめてもいる。こうした経験を活かしなんでもお手伝いさせて頂く。(コロナウイルスについても)率直に、数か月先のことは分からない状態だが、サポートにベストを尽くしたい」と、新型コロナウイルス対策を今後、徹底していく東京への協力体制を約束した。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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