NTC(味の素ナショナルトレーニングセンター)体操場の利用中止に 内村選手の陽性判明を受け日本スポーツ振興センターが発表
30日=都内 体操の内村航平(31=リンガーハット)の新型コロナウイルス感染が29日に発表されたのを受け、NTC(味の素ナショナルトレーニングセンター)を管理する日本スポーツ振興センター(JSC)が、体操の練習場所を利用中止にすると発表した。内村は、10月20日からNTCの体操練習場と、食事や宿泊ができるアスリートヴィレッジを利用していた。JSCでは、内村の行動範囲を把握し施設の安全も確認したが、「念のため体操練習場は利用を中止した」と説明する。他の施設については、日常的に新型コロナウイルス感染症予防対策に対応した清掃・消毒作業や感染防止策を行っており、利用は継続される。
国際体操連盟(FIG)はコロナ禍では初めてとなる国際競技会として日米中露4カ国による国際交流大会(11月8日、東京・国立代々木競技場)を開催するため、選手へのPCR検査を実施。出場予定だった内村は発熱もなく無症状で、今後、6日間の経過観察と11月4日のPCR検査の結果で、陰性の場合、本人が出場するかどうか決める。国内で現役五輪金メダリストの感染は初めてで、五輪強化拠点である味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)で選手の感染が判明したのも初めて。感染予防対策は、内村も体操協会、NTCも万全だっただけに、衝撃は大きい。
FIGの渡辺守成会長(61)によると大会へ向けさまざまなコロナ対策をとっていたが、今後、日本選手に感染が広がれば、大会参加取りやめを検討する。11月4、5日に来日予定の海外選手で同様の事態が起これば、大会中止もあるという。渡辺会長は29日に「(内村が)自分のために中止となれば、耐えられないと思う。それはできるだけ避けてあげたい」と、内村へ気遣いを見せていた。
今大会は、来夏、コロナ禍で開催するオリンピックへの不安がぬぐえないなか、国内外に開催可能をアピールする重要な試金石と見られている。ホスト国が万全であるとのアピールをしたかったが、こうしたケースは五輪でも十分予想されるだけに、保健所、医療機関、入国管理と、難しい局面も試金石となる。