スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2020年9月13日 (日)

横浜FC 53歳カズは不出場も「背中」で3連敗から脱出に貢献 名古屋に3-2で勝利

13日=ニッパツ(3290人) Jリーグ16節が行われ、3連敗中の横浜FCが4位と好調の名古屋とJ1では07年以来13年ぶりの対戦をホームで迎えた。前半12分、名古屋の吉田豊がこぼれ球を強烈な右足ダイレクトで決めて先制。しかしこの日の横浜FCは豊富な運動量でボールを追い、19分には齋藤功佑が混戦から右足ダイレクトでゴール右上にシュート、早くも同点にした。直後の22分、CKからゴール前の混戦の中から志知孝明が勝ち越しゴールを決めて、前半の風上を最大限に生かした攻撃でリードして折り返した。
後半は、強風を受けて守備に回る時間が長くなり、守備の陣形が崩れたところ、28分、名古屋のマテウスに決められ同点にされる。守備で耐えて、中盤から競り合いのこぼれ球を奪った松浦がディフェンスラインの裏へスルーパス、これに、後半交代で入った瀬沼優司が抜け出し、右足で冷静にゴール左隅に流し込んで勝ち越した(33分)。横浜FCは3連敗を脱出。決勝ゴールを奪った瀬沼はここまで出場機会がなかったがゴールするとまっすぐカズの元へ。試合後、「試合に出られない時も、カズさんがポジティブな言葉をかけ続けてくれて、(出場したら)活躍するんだ、と言ってくれた。カズさんから心は熱く、頭は冷静に、と掛けられた言葉を考えてプレーした。きょうのゴールは、そんな背中を見て準備ができたから。カズさんに感謝したい」と、ベンチ入りしながら最年長記録更新はならなかった53歳への思いを強調した。下平監督は、試合直後、カズとタッチしながら会話を交わし、「正直、出せなくてすみません、と言ったら、いいんだよ、勝つのが大事なんだよ、と言ってもらえました」と、連敗脱出にほっとした表情を見せた。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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