スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2020年9月10日 (木)

サッカー殿堂に木村和司、トルシエ両氏選出 スポーツ団体の女性リーダー育成プログラムも発足 日本サッカー協会理事会で決定

10日=オンライン 日本サッカー協会はオンラインで理事会を開いた。9月10は日本サッカー協会の創立記念日で、例年、サッカー殿堂掲額式典が行われている。今年はコロナウイルスの感染拡大のため式典は中止となったが、元日本代表のMF・木村和司氏(62)と、2002年W杯日韓大会で初の16強進出を果たした元日本代表監督、フィリップ・トルシエ氏(65)の日本サッカー殿堂入りを承認した。また、新型コロナウイルスの影響による2020年度補正予算を承認し、収入は49億円減の146億6000万円、支出も46億2000万円減の157億6000万円へと修正し、当初予算から2億8000万増の11億円の赤字を見込む。須原清専務理事は、新型コロナの感染拡大により、20年は国内で日本代表や今回の東京五輪を目指したU23代表の公式戦などが相次いで中止になり「代表関連の活動ができていないのがインパクトとして大きい。放送権、入場料収入が大きく、半分前後はそういったところからきている」と、収入減の要因を説明した。

 22年ワールドカップ(W杯)カタール大会アジア2次予選が延期された10、11月の日本代表の活動について須原氏は「近々発表できるかと思う。活動したいという強い思いでいる」と、海外組中心の実施など日本代表戦について見通しを示した。

 今年度の第100回天皇杯全日本選手権の決勝(来年1月1日)は、前回に続き東京・国立競技場で開催すると決定。また一般企業でも目標数値を大きく下回っている女性を管理職に登用する、女性活躍社会の実現に向けスポーツ団体等のリーダーを志す女性を対象とした「女性リーダーシップ・プログラム」を開設し、日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)と共同で開催する。14日には、日本協会が指定する指導者ライセンスに新しく、女性指導者用のプロライセンスとして設置する「A‐Pro」ライセンスの講習もスタート。来秋始まる女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」の機運とともに、掛け声だけに終わらないスポーツ界の女性登用の先陣を切っていく方針だ。

公益財団法人日本サッカー協会 会長 田嶋幸三 「新型コロナウイルスは世界に大きな試練を与えました。しかし、その一方でスポーツが、人々の心身の健康と生命の維持、さらには国際協調と平和をもたらすものであることを再認識させてくれました。世界を見渡してみると、依然として紛争や迫害、貧困や差別、環境破壊など深刻な問題が横たわっています。サッカーだけでそういった問題を解決するのは不可能ですが、国際社会と足並みをそろえてSDGsの達成に向けて取り組んでいくことで持続可能な社会の実現に寄与できるものと確信しています」

 

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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